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Channel: 新古今和歌集の部屋
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歌論 俊頼髄脳 歌の良し

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俊頼髄脳

おほかた、歌の良しといふは、心をさきとして、珍しき節を求め、詞をかざり詠むべきなり。心あれど、詞かざらねば、歌おもてめでたしとも聞えず。詞かざりたれど、させる節なければ、良しとも聞えず。めでたき節あれども、優なる心ことばなければ、またわろし。気高く遠白きをひとつのこととすべし。これらを具したらむ歌をば、世の末には、おぼろげの人は、思ひかくべからず。金玉集といへる物あり。その集などの歌こそは、それらを具したる歌なめり。それらを御覽じて、心を得させ給ふべきなり。これらを具したりとみゆる歌、少し記し申すべし。
風ふけば沖つしらなみたつた山よはにや君がひとりゆくらむ(古今 雑下)
白波といふは、、ぬす人をいふなり。龍田山を、おそろしくやひとりこゆらむと、おぼつかなさに詠める歌。
【略】


古今著聞集 白馬節会習礼

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古今著聞集


公事第四
104 後鳥羽院白馬節會習禮の事
後鳥羽院、ひそかに大内に御幸なりて、白馬節會の習禮ありけり。院は大臣の大將とて、内辨をつとめさせをはしましけり。官人坊門大納言忠信、番長家季朝臣にてぞ侍ける。右大將にて後久我太政大臣におはしけるに、番長には造酒正信久をなされたりけり。大納言に信久ふかくかしこまりたりけるを、大納言みて、
随身に随身のかくばかりするやうやある
といはれければ
随身も随身にこそよれ
といひたりける、いと興ある事也。
此日の事ぞかし、彈正弼國章、内侍となりて、下名をもちて東のはしのもとへあゆみいでたりけるに、陣につきたる諸卿たえかねて、みなわらひたりけるとなん。

栄花物語 哀れ儚き事

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榮花物語 巻第四 みはてぬゆめ その二
世の中のあはれにはかなきことを、攝津守爲頼朝臣といふ人

世の中にあらましかばと思ふ人なきは多くもなりにけるかな


これを聞きて、東宮の女藏人小大君、返し


あるはなくなきは數そふ世の中にあはれいつまであらんとすらん


とぞ。


小野宮の實資の中納言、式部卿の御女、花山院の女御に通ひたまふといふこと出できたれば、一條の道信の中將さしおかせける、


うれしきはいかばかりかは思ふらん憂きは身にしむ心地こそすれ


われも懸想じきこえけるにや。



※あるはなく
新古今和歌集哀傷歌
題しらず    小野小町

雑歌下 我が身に積もる年

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新古今和歌集巻第十八雑歌下

    慈覚大師

  大方に

過ぐる月日をな

    がめしは

  わが身に
      年の

   積るなりけり



比叡山慈覚大師廟

前唐院(慈覚大師住坊)

釈教歌 我が立つ杣

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      伝教大師
阿耨多羅三藐三菩提の仏たち

   わがたつ
      杣に
     冥加あらせたまへ

比叡山延暦寺根本中堂

歌論 俊頼髄脳 歌の種類

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ひとへに優なる歌、 【略】
氣高く遠白き歌、
よそにのみ見てややみなむかづらぎやたかまの山の峰の白雲
 【略】
良き節に、優なる事具したる歌、 【略】
心をさきにして、詞をもとめたる歌、 【略】
良き歌に、こはき詞そへる歌、 【略】
風情あまりすぎたる樣なる歌、 【略】
五文字こはき歌、 【略】
末なだらかならぬ歌、 【略】
聞くにつみふかく聞ゆる歌、 【略】
げにと聞ゆる歌、 【略】
心ぐるしくいとほしき歌、 【略】
心ざしを見せむと詠める歌、 【略】
おぼただしき節ある歌、 【略】
をこましきことある歌、 【略】
ひたぶるに聞ゆる歌
にくかでも人は忘れけりと聞ゆる歌、 【略】
思ひはなれたる樣にてさすがねぢけたる歌、 【略】
いとほしく追ひふしたる歌、 【略】
物に心得たりと聞こゆる歌、 【略】
思ひかけぬ節ある歌、【略】

※よそにのみ
新古今和歌集巻第十一 戀歌一
題しらず   よみ人知らず
よそにのみ見てややみなむ葛城や高間の山のみねのしら雲
 

古今著聞集 花山院梅歌

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古 今 著 聞 集
和歌第六 
145 花山院紅梅の御歌の事
花山院御ぐしおろさせ給て後、叡山よりくだらせ給けるに、東坂本の邊に、紅梅のいとおもしろうさきたりけるを、立とゝまらせ給て、しばし御らんぜられけり。惟成辨入道御ともに候けるが、
王位をすてゝ御出家あら程ならば、これ體のたはぶれたる御振舞はあるまじき御事に候
と申侍ければ、よませ給うける。
色香をば思もいれず梅花つねならぬ世によそへてぞみる

※色香をば
 巻第十六 雑歌上 1444 花山院御歌
梅の花を見給ひて


栄花物語 一条院の出家

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榮花物語 巻第九 いわかげ
一條院御髪おろさせたまはんとて、宮に聞えさせたまひける


露の身の仮の宿りに君をきて家を出でぬることぞ悲しき


とこそは聞えしか。御返し、何ごとも思し分かざりけるほどにてぞ。


※露の身の  巻第八 哀傷歌 779 一條院御歌
例ならぬこと重くなりて御ぐりおろし給ひける
日上東門院中宮と申しける時遣はしける



俊頼髄脳 朧月夜にしくものぞなき

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てりもせずくもりもはてぬ春の夜のおぼろ月夜にしく物ぞなき
かうも詠めるは、花を散るめでたしと詠める心はべる。
【略】



新古今和歌集巻第一春歌上
大江千里
照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき

裏に歌が有った歌碑 生野

慈慧大師七猿歌 世を厭わざるを悔ゆ

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    つれもなく
いとわざるこそ うかりけれ
  定めなき世を夢と見なから

大津市坂本

恋歌三 不逢恋 水無瀬兼豊筆コレクション

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とま    いつとなく

 びさし    しほやく

  ひさしく    あまの

    なりぬ

 入道前関白家に

    百首哥よみ侍り

あはぬ  けるときあはぬ

  思ひ    恋といふ心を

   に(は)

        藤原基輔朝臣

水無瀬前宰相兼豊卿

新古今和歌集 巻第十三  恋歌三
 入道前関白家に百首歌よみ侍りける時逢ぬ恋といふ心を

いつとなく塩焼く海士のとまびさし久しくなりぬ逢はぬ思は

水無瀬兼豊
生没年:承応二年(1653年)-宝永二年(1705年)
父:水無瀬則俊
義父水無瀬氏信
1695 参議
1696 踏歌外弁
1702 従二位

平成28年7月19日 點九貮

改正古假名 新古今和歌集

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改正古假名
新古今和歌集
浪華書房  嵩山堂梓




和漢洋書籍發兌處
東京帝国大学 京都帝国大学
高等師範学校 第一高等学校 御用書肆
学習院 帝国図書館
      大阪市東区博労町四丁目廿七番地
発行印刷者 青木恒三郎
      東京市日本橋通一丁目
製本発売所 青木嵩山堂
      大阪市心齋橋筋博労町
 仝    青木嵩山堂
      勢集州四日市港竪町
賣捌所   嵩山堂支店

高等師範学校は、明治19年(1886年)に東京に設置され、東京高等師範学校と改名するのが明治35年(1902年)。
四日市が市政を行うのが明治30年(1897年)。
従って明治19年~30年に発行されたと推察される。

古今著聞集 西行寂念崇徳院悲歌

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古今著聞集
和歌第六

156 西行法師崇徳上皇を悲しみ奉る事
保元の亂によりて、新院讃岐國にうつらせおはしましにけり。和歌の道すぐれさせたまひたりしに、かゝるうきこと出きたれば、この道すたれぬるにやとかなしくおぼえて、寂念法師がもとへよみてつかはしける、西行法師、
ことの葉のなさけたえぬるおりふしにありあふ身こそかなしかりけれ
返し、寂念法師、
しきしまや絶ぬる道になく/\も君とのみこそ跡をしのばめ

八代集 新古今和歌集下 蔵書

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切出歌の家持、赤人、顯照、恵恵の後に、
右八代集為備證本以数年 再三令校合之畢 文明第十八三月中旬 牡丹花在判
とあり、江戸後期版の八代集の新古今和歌集下と思われる。

春歌上 西行 今出川誠季筆コレクション

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 春哥とて

     西行

      法師

 

降つみしたかねのみゆき

   とけにけり清滝

     川の水の

      しらなみ

読み:ふりつみしたかねのみゆきとけにけりきよたきがわのみずのしらなみ



今出川 誠季
正徳三年(1713年)-
延享三年(1746年)従二位、権大納言。父:西園寺致季、養父:今出川公詮
江戸時代中期の公卿。西園寺家から今出川家へ婿養子に入った。享保八年(1723年)に叙爵。侍従・左近衛少将・左近衛中将を経て、享保二十年(1735年)従三位に昇り公卿に列する。その後、権中納言を経て、元文四年(1739年)には権大納言に就任。病に倒れる延享三年(1746年)まで同職を務めた。同年中に死去。享年39。

平成28年7月17日 壱點陸

歌論 俊頼髄脳 萌え出づる春

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歌の詞に、らし、かも、いも、べらなり、まにまに、いまはただ、みわたせば、ここちこそすれ、わびしかりけり、つつ、そも、これらは、おぼろげにては詠むまじと、ふるき人々申しけるとぞ承りし。これまた、古き歌になきにあらず。
【略】
いはそそぐたるみの上のさわらびのもえいづる春にあひにけるかも
これらにて、心を得るに、よくつづけつれば、咎とも聞えず、あしうつづけつれば、咎とも聞え、あしうつづけつれば、花ざくらといふも、てる月のといふも聞きにくくこそおぼゆれ。
【略】


唐詩選画本 岳陽晩景 張均

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岳陽晩景   張均

晩景寒鴉集、秋風
旅雁歸。水光浮日出、
霞彩映江飛。洲白蘆
花吐、園紅柿葉稀。長
沙卑濕地、九月未成衣


晩景寒鴉集い、秋風旅雁帰る。
水光日を浮べて出で、霞彩江に映えて飛ぶ。
洲は白くして蘆花吐き、 園は紅にして柿葉稀なり。
長沙は卑湿の地、九月未だ衣を成さず

栄花物語 一条院御念仏

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榮花物語 巻第十 ひかげのかづら
中宮には、年さへ隔たりぬるを、盡きせずあはれに思しめされて、ただ御おこなひにて過ぐさせたまふ。正月十五日一條院の御念仏に殿ばらみな參らせたまへり。月のいみじう澄み昇りてめでたきに、事果てゝ出でさせたまふとて、殿の御前


君まさぬ宿には月ぞひとりすむ古き宮人立ちもとまらで


とのたまはすれば侍從中納言


去年の今日今宵の月を見しをりにかからむものと思ひかけきや


はかなくて司召のほどにもなりぬれば、世には司召とのゝしるにも、中宮世の中を思し出づる御氣色なれば、藤式部


雲の上を雲のよそにて思ひやる月はかはらず天の下にて


あはれに盡きせぬ御事どもなりや


宮の御前かへす/\思し嘆かせたまひて、大殿籠りたる曉方の夢に、院ほのかに見えさせたまひければ


逢ふことを今は泣き寝の夢ならでいつかは君をまたは見るべき


とて、いとど御涙堰きあへさせたまはず。


芭蕉書簡 元禄三年七八月頃

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去来宛 元禄三年七八月頃

發端行脚の事を云て、幻住庵のうとき由難至極。…略…
長明方丈の記を讀に、方丈の事いはむとて、新都の躁動火事地震の乱、皆是栖の上をいはむとなり。愚非聊のがるゝ處有といへども、幻住庵にかゝる所はき/\となくて、御一覽の所尤と同ズ。
…略…
去来雅丈           ばせを
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