るゝかことし。塵をけふりのこ
とくふきたてたれはすへてめ
もみえす。おひたゝしくなりと
よむをとにものいふこゑもきこ
えす。かの地獄の業のかせなりとも
かはかりにはとそおほゆる。いゑ
の損亡せるのみにあらす。これを
とりつくろふあひたに身をそ
こなひかたはつける人かすも
(風に乱)
るゝが如し。
塵を煙の如く吹き立てたれば、全て目も見えず。
夥しく鳴り響む音に物言ふ声も聞こえず。
彼の地獄の業の風なりとも、かばかりにはとぞ覚ゆる。
家の損亡せるのみに非ず。
是を取り繕ふ間に身を損なひ片輪付ける人、数も
(参考)大福光寺本
ルカ如シ
チリヲ煙ノ如ク吹タテタレハスヘテ目モミエス
ヲヒタゝシクナリトヨムホトニモノイフコヱモキコエス
彼ノ地獄ノ業ノ風ナリトモカハカリニコソハトソヲホユル
家ノ損亡セルノミニアラス
是ヲトリツクロフアヒタニ身ヲソコナヒ片輪ツケル人カスモ