新古今和歌集 巻第十二 戀歌二
戀歌あまたよみ侍りけるに 殷富門院大輔
洩らさばや
おもふ心を
さてのみはえぞ
やましろの
井手
の柵
読み:もらさばやおもうこころをさてのみはえぞやましろのいでのしがらみ 隠
意味:漏らしたいものだ、私のあの人を思う心を。こうして秘密ばかり続けていることができないから。ちょうど山城の井手川に掛けている柵のように。
作者:いんぷもんいんのたいふ平安末期の女流歌人。藤原信成の娘。後白河院皇女亮子内親王(殷富門院)に仕えた。歌林苑の会衆の一人。
備考:出典未詳。えぞやまじとえぞやましろの掛詞。漏らすは柵の縁語。
八代集抄、歌枕名寄、女房三十六歌仙、美濃の家づと、定家十体、新古今和歌集抄出聞書(陽明文庫)