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かはらぬ色をしらべにてこそ。いがき
をもこえ侍にけれ。さも心うくと
きこえ給へば
●御息所 /
神がきはしるしのすぎもなき
ものをいかにまがへておれるさか木ぞ。
と聞え給へば
● 源 /
をとめこがあたりと思へはさかき
ばのかをなつかしみとめてこそおれ
おほかたのけはひわづらはしけれど、
● 源
みすばかりはひきて、なげしにを
● 源心
しかゝりてゐ給へり。心にまかせて
見たりつべく、人もしたひざまに
おぼしたりつるとし月は、のとか成
つる御心をごりに、さしもおぼされ
ざりき。
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また心のうちにはいかにぞや。きず
ありて思聞え給にしのち、はた哀
もさめつゝ、かく御なかもへだりぬるを、
めづらしき御たいめんのむかしおほ
えたるに、あはれとおぼしみたるゝこ
とかぎりなし。きしかた行さきお
ほしつゞけられて、心よはくなき給ぬ。
●御息所
女はさしも見えじとおぼしつゝむめ
● 源氏
れど、え忍ひ給はぬ御気色を、いよ
● 源氏
/\心づくしうなをおぼしとまるべき
さまをぞ聞え給める。