(ウェッブリブログ 2010年11月24日)
椰子の実 / 藤山一郎
今ゐる自分は流れ流れた冒険のすゑにたどり付く身かな
身と実の掛詞
柳田国男は民俗学の中で、南の島から椰子の実が愛知県渥美半島に流れ着いたので日本人のルーツを考えたらしい。
椰子の木の画像にしたいのだが、アトランダムに選択されるので、出来ないなあ。
椰子の実 島崎藤村
名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ 故郷の岸を 離れて 汝はそも 波に幾月
旧の木は 生いや茂れる 枝はなお 影をやなせる われもまた 渚を枕 孤身の 浮寝の旅ぞ
実をとりて 胸にあつれば 新たなり 流離の憂い 海の日の 沈むを見れば 激り落つ 異郷の涙
思いやる 八重の汐々 いずれの日にか 国に帰らん
1900年(明治33年)6月の雑誌『新小説』に「海草」という総題で発表された詩の一遍で、1901年(明治34年)8月に刊行された詩集「落梅集」に収録されている。