光ありと見し
ゆふかほのうは
露は
たそかれときの
空めなり
けり
源氏物語
夕顔
顔はなほ隠したまへれど、女のいとつらしと思へれば、
げに、かばかりにて隔てあらむも、ことのさまに違ひたりと思して、
夕露に紐とく花は玉鉾のたよりに見えし縁にこそありけれ
露の光やいかに
とのたまへば、 後目に見おこせて、
光有りと見し夕顔の上露は黄昏時の空目なりけり
とほのかに言ふ。をかしと思しなす。 げに、うちとけたまへるさま、世になく、 所から、まいて ゆゆしきまで見えたまふ。
読み:ひかりありとみしゆふかほのうはつゆはたそかれときのそらめなりけり