あゆみわつらひなく心さしとを
くいたるときはこれよりみね
つゝきすみやまをこえかさとり
をすきてあるひはいはまにも
うてあるひはいしやまをおかむ
もしはまたあはつのはらをわ
けつゝせみうたのおきなのあとを
とふらひたなかみがはをわたりて
せみまろまうちきみがはかを
歩み煩ひ無く志し遠く至る時は、これより峰続き、炭山を越え、笠取を過ぎて、或は岩間に詣で、或は石山を拝む。
もしは又粟津の原を分けつゝ、蝉歌の翁の跡を訪ひ、田上川を渡りて、蝉麻呂大夫が墓を
(参考)大福光寺本
アユミワツラヒナク心トヲクイタルトキハコレヨリミネツゝキスミ山ヲコエカサトリヲスキテ或ハ石間ニマウテ或ハ石山ヲヲカム。
若ハ又アハツノハラヲワケツゝセミウタノヲキナカアトヲトフラヒタナカミ河ヲワタリテサルマロマウチキミカハカヲ