のあめはをのつから木のはふくあ
らしにゝたり。やまとりのほろ/\
となくをきゝてはちゝかはゝかと
うたかひみねのかせきのちかく
なれたるにつけてもよにとを
さかるほとをしる。あるひは又うつ
み火をかきおこして老のね
さめのともとす。おそろしき山
ならねはふくろうのあはれむに
(暁)の雨は自づから木の葉吹く嵐に似たり。
山鳥のほろ/\と啼くを聞きて、父か母かと疑ひ、峰の桛木の近く馴れたるにつけても、世に遠ざかる程を知る。
或は又、埋み火を掻き熾して老の寝覚めの友とす。
怖ろしき山ならねば、梟の哀れむに
(参考)大福光寺本
ノアメハヲノツカラコノハフクアラシニニタリ。
山トリノホロトナクヲキゝテモチゝカハゝカトウタカヒミネノカセキノチカクナレタルニツケテモヨニトホサカルホトヲシル。
或ハ又ウツミ火ヲカキヲコシテヲイノネサメノトモトス
ヲソロシキ山ナラネハフクロフノコヱヲアハレムニ