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Channel: 新古今和歌集の部屋
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大火記 天明団栗焼

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大火記 伴高蹊

そも/\こたびばかりの火は京にてためしといふ。宝永の火は今も語りつたへておそろしき事にいふめれどそは京の町十かろくとかや。そのさき応仁の乱れの火もかの記にすさまじくかけれどもこたびはなし。中昔鴨長明の記に見ゆるも大風地震などつゞけて書たれば身の毛もよだつやうなれど火ばかりとりはなちては京の中みつかひとつといへり。こたびは洛中洛外をかけて九分にあまり残れる所ははつかに方広殿のめくり祇園知恩院粟田のわたり西本願寺はあやうくてまぬがれはた東寺北野となん。されば禁裏仙洞をはじめ奉り諸宮公卿の御館ともひとつに烟となれり。かけまくもかしこき御うへ/\もかた/"\にあがれまつらせたまふ。

天明八年一月三十

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