時雨亭方丈記 序1
鴨長明方丈記 行河のながれはたえずしてしかも本の水に あらず。よどみにうかぶうたかたはかつきえかつむ すびて久しくとゞまることなし。世の中にある 人と栖と又かくのごとし。たましきの宮この内 に棟をならべ甍をあらそへるたかき賎き人 まことかと(ゝ)たずぬれば昔ありし家はまれなり。或は 去年やぶれて今年造れり。或は大家ほ ろびて小家となる。すむ人も是おなじ。所もかはら...
View Article時雨亭方丈記 序2
僅かに一人二人なり。朝に死す夕に生るな らひたゞ水の泡にぞ似たりける。しらずむま れしぬる人何方より來て何方ヘかさる。又知ずかり のやどりたがためにか心をなやまし何によりてか めをよろこばしむ。○○あるじとすみかと無しやう をあらそふさまいはゞ朝がをの露にことならず。 あるひは露はおちて花のこるといへども朝日 にかれぬ。あるひは花しぼみて露なを消ず。き えずといへ○暮を待ことなし。物の心をしれりし...
View Article猿丸、行平、業平 百人一首掛軸 至道無難筆コレクション
猿丸大夫 おくやまに紅葉 ふみわけなく 𢈘の こゑきく ときぞ 秋はかなしき 中納言 行平 たちわかれいなばの やまのみねに おふる松とし きかば いまかへり こむ 在原業平 朝臣 ちはやぶるかみ きかず立田川 よも からくれなひに 水くゝるとは 至道無難禅師 至道無難 (慶長八年(1603年)...
View Article切入歌の推定 明月記五月四日慈円歌7
5 切り入れ歌の推計 田渕句美子氏は、『明月記』(元久二年五月~閏七月)を読むの解説の中で、当時の明月記や砂厳などの記載と現存の歌人の歌数のかなりの差から、「歌自体も相当入れ替わっていると見るべきであろう。」(同書六三頁下段)と推察している。...
View Article新古今和歌集註 筆者不明コレクション
○○も 人と年を送り○てきて雪の比までも ○つれなしとよみ○ふや 少将高光横川にのぼりてかしらおろし侍に けるを○○てつかはしける 天暦御歌 都より雲の八重たつおく山の横川の水はすみよかるらん 第一の句より第五の句ヘうつりたる哥也。都よりも よ川はすみよかるらんとやおぼし又○侍哥や 誰も都より住よく○と申べきを九重のちを 新古今和歌集巻第十八 雑歌下...
View Article時雨亭方丈記 大火1
事やゝたび/\となりぬ。去安元三年廿八日 かとよ風激しく吹て閑ならざりし夜戌の 時ばかりより都の東南より火いできて西北に いたる。はてには朱雀門大極殿大學寮民部 省までうつりて一夜のうちに塵灰となりにき。 火もとは樋口富小路とや。病人をやどせるかり 屋よりいできたりけるとなん。吹まどふ風にとかく うつり行ほどに扇をひろげたるがごとくすゑひろ になりぬ。又遠き家は煙にむせびちかきあたりは...
View Article時雨亭方丈記 大火2
たて○れば火のひかりに映じてあまねく紅なる 中に風のたへず吹きられたるほのを飛ごとく して一二町を越つゝうつり行。其中に人うつし 心あらむや。或は煙にむせびてたふれふし或はほの ほにまぐれて忽に死ぬ。或は又身ひとつからう じてのがるれども資戝を取いづるに及ばず。七 珎万寳さながら灰燼となりにき。其費いくそば くぞ。このたび公卿の家十六やけたり。まして そのほかは数をしらず。惣て都のうち三分が一に...
View Article時雨亭方丈記 辻風1
ぐひ邉際をしらず。人のいとなみおろかなる中に さしもあやうき○中の家をつくるとてたからを ついやし心をなやます事はすぐれてあぢきなく ぞ侍る。又治承四年卯月十二日の比中御門 京極の邉たり大なる辻風おこりて六条あた りまでいかめしく吹こと侍りき。三四町をかけてふきま くる間に其中にこもれる家ども大なるもちいさ きも一としてやぶれぬはなし。さながらひらに たふれたるも有。けたはしらばかりのこるも...
View Article祇園会 為家
夫木和歌抄巻第三十四 雑部十六 祇園 山城 文永八年毎日百首 民部卿為家 かさにさす やまどりの尾の ながき日に 神のそのとぞ 今日まつるらん 傘に挿す山鳥の尾の長き日に神の園とぞ今日祭るらん
View Article祇園祭参加山鉾
七日 応仁乱前分 1 長刀ほく 2 かんこくほく 3 かづら男ほく 4 かんたかうふきぬ山 5 こきやこはやし物 6 あしかり山 7 まうそ山 8 いだてん山 9 弁慶衣川山 10 天神山 11 こかうのたい松山 12 すみよし山 13 地きうほく 14 こはんもち山 15 花ぬす人 16 うかひ舟山 17 ひむろ山 18 あしかり山 19 はねつるべ山 20 まうそ山 21 花見の中将山 22...
View Article時雨亭方丈記 辻風2
を吹はらひてとなりとひとつになせる。いはむや 家の中の資戝かづをつくして空にあり。○○だ 吹の板のたぐひ冬の木葉の風にみだれるゝがごとし。 ちりをけぶりのごとくに吹たてぬればすべて めも見えず。をびたゞしくなりとよむをとに物いふ こゑもきこえず。地獄の業風なりともかばり にとぞ覚○。損亡するのみにあらず。是をとり○ なふ間に身をそこなひ○た○ける物数をし...
View Article新古今時代詳説 蔵書
新古今時代詳説 著者:横尾豊 初版:昭和十年九月十八日(特価版昭和十一年三月五日) 発行:言海書房 第一章 序説 第二章 歌界史上 第一節 九條家時代 第二節 承久の政變 第三節 土御門家時代 第四節 六條、御子左家兩家の論争 第五節 仙洞時代 第三章 歌界史下 第一節 仙洞時代續 第二節 内裏時代 第四章 作歌環境 第一節 和歌隆盛の原動力 第二節 新古今調の成因 第三節...
View Article百人一首抄 書写者不明 蔵書
三十六人撰 百人一首抄 新古今和歌集 藤原美波留 藤原(長野)美波留 1775-1822 江戸時代後期の国学者,歌学者。 安永4年3月15日生まれ。信濃松代藩士の子。江戸で大村光枝に歌学を,塙保己一の門で国学をまなび,「群書類従」を校正。のち和学講談所で歌学を教授した。文政5年4月3日死去。48歳。通称は七郎。号は麻生園。名は三晴,美晴ともかく。著作に「百人一首抄」など。 手書き書写...
View Article天明大火と祇園山鉾
天明八年の団栗焼により多くの山鉾が消失。 天明八年(1788年) 前祭 太子山、占出山、蟷螂山、四条傘鉾、山伏山、木賊山、綾傘鉾 後祭 橋弁慶山、八幡山、役行者山、鯉山、鈴鹿山、鷹山 寛政元年(1789年) 前祭 長刀鉾、太子山、綾傘鉾、四条傘鉾、霰天神山、月鉾、山伏山、蟷螂山、木賊山、占出山、鶏鉾 後祭 橋弁慶山、八幡山、鈴鹿山、役行者山、黒主山、鯉山、北観音山、鷹山
View Article天明炎上記
天明炎上記 樵夫東林 … 東西の河ぎし所せきまでこゝにやのがれんかしこにやと火はさかりにもえて灰烟よもにおほひくれ行空もひるのやうにて風猶はげしくよこぎる雨に降かゝるほのほは衆星の落るかと見え侍ればあなかしこみどころあたりも心もとなしとあしをそらにはせちかふ。...
View Article