明月記
元久元年六月
十五日天晴る。…略…今日祇園に神馬を立てらる。例の如し。まず御幣(仕丁を相具し願文を持つ)、次で神馬十匹(十列なり。御随身之に乗る)、近武以下なり。あかり馬二疋。兼澄の子男兼廉等之に乗る(近春落ちて死す。小屋立なり)。例の出でおはしますの後、宿所(九条)に帰る。小浴し、僵れ臥す。夜に入り熊野の行遍法橋来たりて談る。歌人なり。
行遍法橋
哀傷歌
見し人は世にもなぎさの藻塩草かき置くたびに袖ぞしをるる
恋歌四
なごりをば庭の浅茅に留め置きて誰ゆゑ君が住みうかれけむ
雑歌上
あやしくぞ帰さは月の曇りにし昔がたりに夜やふけにけむ
雑歌下
たのみありて今行末を待つ人や過ぐる月日を歎かざるらむ
元久元年六月
十五日天晴る。…略…今日祇園に神馬を立てらる。例の如し。まず御幣(仕丁を相具し願文を持つ)、次で神馬十匹(十列なり。御随身之に乗る)、近武以下なり。あかり馬二疋。兼澄の子男兼廉等之に乗る(近春落ちて死す。小屋立なり)。例の出でおはしますの後、宿所(九条)に帰る。小浴し、僵れ臥す。夜に入り熊野の行遍法橋来たりて談る。歌人なり。
行遍法橋
哀傷歌
見し人は世にもなぎさの藻塩草かき置くたびに袖ぞしをるる
恋歌四
なごりをば庭の浅茅に留め置きて誰ゆゑ君が住みうかれけむ
雑歌上
あやしくぞ帰さは月の曇りにし昔がたりに夜やふけにけむ
雑歌下
たのみありて今行末を待つ人や過ぐる月日を歎かざるらむ