明月記 元久二年三月
二十日。夜より雨降る。祈年穀に依り、蟄居す。…略。別当の消息に云ふ、新古今の竟宴、風情を凝らして、予め参ずべき由、催しを蒙ると。此の事、如何。竟宴の事、先例不審なり。竟に答ふる事、存知せず。延喜に古今、天暦に後撰、管見の及ぶ所、竟宴の事を見ず。只、見る所、日本紀の竟宴許りなり。其の事に於いては、日本紀に講ぜらる。人別に、其の人を得て詠む歌一首か。只、講書の儀の如し。今承るが如くは、此の歌の体に似ざるか。極めて以て、不審といへり。
二十日。夜より雨降る。祈年穀に依り、蟄居す。…略。別当の消息に云ふ、新古今の竟宴、風情を凝らして、予め参ずべき由、催しを蒙ると。此の事、如何。竟宴の事、先例不審なり。竟に答ふる事、存知せず。延喜に古今、天暦に後撰、管見の及ぶ所、竟宴の事を見ず。只、見る所、日本紀の竟宴許りなり。其の事に於いては、日本紀に講ぜらる。人別に、其の人を得て詠む歌一首か。只、講書の儀の如し。今承るが如くは、此の歌の体に似ざるか。極めて以て、不審といへり。