伊勢物語繪詞
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みち
のく
の
忍ぶ
文
字
摺
誰
ゆへに
みだれ
染
にし
我
なら
なく
に
初段 初冠
昔、男初冠して、平城の京、春日の里に、しるよしして、狩りに往にけり。 その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男かいまみてけり。 思ほえず、ふる里にいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。
男の、着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。 その男、しのぶずりの狩衣をなむ着たりける。
春日野の若紫のすりごろも しのぶの乱れかぎりしられず
となむ追ひつきて言ひやりける。ついでおもしろきことともや思ひけむ。
陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに
といふ歌の心ばへなり。昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/3b/8f9e1700d3aa4523ee4560a39d981f5a.jpg)
みち
のく
の
忍ぶ
文
字
摺
誰
ゆへに
みだれ
染
にし
我
なら
なく
に
初段 初冠
昔、男初冠して、平城の京、春日の里に、しるよしして、狩りに往にけり。 その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男かいまみてけり。 思ほえず、ふる里にいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。
男の、着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。 その男、しのぶずりの狩衣をなむ着たりける。
春日野の若紫のすりごろも しのぶの乱れかぎりしられず
となむ追ひつきて言ひやりける。ついでおもしろきことともや思ひけむ。
陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに
といふ歌の心ばへなり。昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/57/e8c3dc91613d6723be2779c804557f6b.jpg)