伊勢物語繪詞
出て行
君が
ためにと
ぬぎつれ
ば
我さへも
なく
なり
ぬべ
き
かな
馬の餞
むかし、あがたへゆく人に、馬のはなむけせむとて、呼びて、うとき人にしあらざりければ、家刀自さかづきささせて、女のさうぞくかづけむとす。あるじの男、歌よみて裳の腰にゆひつけさす。
いでてゆく君がためにとぬぎつればわれさへもなくなりぬべきかな
この歌は、あるがなかにおもしろければ、心とどめてよまず。腹にあぢはひて。
出て行
君が
ためにと
ぬぎつれ
ば
我さへも
なく
なり
ぬべ
き
かな
馬の餞
むかし、あがたへゆく人に、馬のはなむけせむとて、呼びて、うとき人にしあらざりければ、家刀自さかづきささせて、女のさうぞくかづけむとす。あるじの男、歌よみて裳の腰にゆひつけさす。
いでてゆく君がためにとぬぎつればわれさへもなくなりぬべきかな
この歌は、あるがなかにおもしろければ、心とどめてよまず。腹にあぢはひて。