國道なきときは忠臣
讒者の舌頭にかゝ
って魂魄帰する
なきもの和漢その
ためし少なからず
天爭忠臣に
報ずる事の
うすきやされ
共千歳の後
史札にのせて
芳名を仰ぐ
秦の趙高
宋の榛槐が
如き三尺の童
といへどもまさに
つばきばきす
北条義時が奸
悪なる重忠が
如き忠臣を
舌頭に
斃す事
各如
しかれども
遂に
九代の
榮を
うくるは
なんぞや
實朝公朝廷に功なく
而尊官をもとむる
事祖先に過大江
廣元驕僣ふ祥
なりとして深く
是を諌む辞るに
源家の正統予
に盡ん故に尊
官を貪而後
来の栄をきは
むと當時北条
氏のありさま
ひそかに見る
ところ
有て
然
ある
か
将
暗
に
その
こと
ば
の
ふ祥
に
あた
れる
か
公暁は義時の奸計に陥り伯
父たる實朝公を殺する事
ひとへに智のいいたらざるところか
將佛門に入りし身の有まじき事
なれども全くは武道に長じ
心高遠に馳るが故にかゝる
悪心を起し其身も亦
定景に討れしは浅まし
實朝また武備厳ならば
郭たやすくは討れ給ふ
まじきに廣元嘗て
下腹巻を進め参ら
せしかども其儀なく
殊に解剱有て
武備更に無
かりし故にかく
口惜き事には
なり
給へり
画工眞虎云
神社解剱の
例故實有る
事也其宮
姫神ならば
解剱在雄
神は解剱
せざるよ
し
實朝其
夜剱を
仲章に
執らしむ殊に
公は天下の武将
として爭解剱
せしやもしくは
鶴ヶ岡の相殿
に姫神在す
にやと
公暁をして實朝公を
殺せしめ大逆
なるを以公暁
を誅す其姦
謀悉く北条
氏より出こゝ
に於て源
家の正統
既に
盡た
り
泰
時
獨
賢
な
りと
称す
れ共
其實
は
偽り
飾る
ものか
大姦は
忠に似
大作は
信に
似たり
とは是
なるべ
し
雅経卿、歌道に秀給ふのみならず、 晋の陶侃舩を造る時其
蹴鞠のほまれ高く、舎兄の宗長 木屑を集て是を掌どら
卿とゝもに、普く美名を震ふ。 しむ後正會に雪はじめて
宗長卿を難波家と称し、雅 はれ地潤ふ時木屑
経卿を飛鳥井家と称す。 をもて地に布く
ことに飛鳥井家は世々歌 佐々木入道
鞠の誉高く、既に東山 竊にこれに
殿の御時、屏風の色紙 ならひし
の もの
押やうも、 か
飛鳥井
大納言
雅親
卿の
傳達に
よられ
し
とぞ
つれ/"\草に
中書王の御
鞠の時雨降
りて庭の
かわか
ざり
ければ
佐々木
隠岐入道
鋸の屑を
たてまつ
られし
を
のせ
たり