明月記 元久二年
八月
二日。天晴る。咳病不快と雖も、相扶けて殿に参ず。先づ高陽院を御覧ず。御共して京極殿に参ずるの間、俄に女房の書状あり。院に参ぜしめ給ふ。御冠直衣を召し寄せ、北の対に於て御装束了りて御参り。退私。申の時許りに、新宰相、召し有る仰せを云ふ。仍て馳せ参ず。新古今の歌、数十首を出す。経師を求めて切り出し了んぬ。戌の時許りに、神泉より還りおはします。之を進上す。又入るべき歌等を下され、切り入るべしといへり。夜漸く深け了んぬ。家長等、明日参ずべき由、相示す。仍て退出す。今朝水無瀬殿、穢の事に依りて停止ると云々。新殿の新造(五菓黄牛あるべし)、且つ又件の御所未だ造り出さずと云々。ー略ー
新宰相:長房
八月
二日。天晴る。咳病不快と雖も、相扶けて殿に参ず。先づ高陽院を御覧ず。御共して京極殿に参ずるの間、俄に女房の書状あり。院に参ぜしめ給ふ。御冠直衣を召し寄せ、北の対に於て御装束了りて御参り。退私。申の時許りに、新宰相、召し有る仰せを云ふ。仍て馳せ参ず。新古今の歌、数十首を出す。経師を求めて切り出し了んぬ。戌の時許りに、神泉より還りおはします。之を進上す。又入るべき歌等を下され、切り入るべしといへり。夜漸く深け了んぬ。家長等、明日参ずべき由、相示す。仍て退出す。今朝水無瀬殿、穢の事に依りて停止ると云々。新殿の新造(五菓黄牛あるべし)、且つ又件の御所未だ造り出さずと云々。ー略ー
新宰相:長房