廿二番
左 業平朝臣
はなにあかぬなげきはいつもせしかども
けふのこよひににるときはなし
右 後亰極摂政前太政大臣
ふるさとのもとあらのこはぎさきしより
よな/\にはのつきぞうつろふ
廿三番
左
月やあらぬはるや昔しのはるならむ
わが身ひとつはもとのみにして
右
もらすなよ雲ゐるみねのはつしぐれ
このはゝしたにいろかはるとも
廿四番
左
たがみそぎゆふつけどりかからころも
たつたのやまにをりはへてなく
右
いくよわれなみにしほれて
きふねがは
袖にたまちる
ものをもふら
ん
重要文化財 為家本時代不同歌合絵巻
東京国立博物館蔵
名称:為家本時代不同歌合絵
年代世紀:鎌倉時代・14世紀
列品番号:A-19
宮内庁書陵部蔵は、業平と西行となっている。
春哥下
花にあかぬ歎はいつもせしかども今日の今宵に似る時は無し
秋哥上
五十首歌奉りし時月前草花
故郷のもとあらのこ萩咲きしより夜な夜な庭の月ぞうつろふ
古今集 恋歌五
月やあらぬ春や昔の春ならむ我身ひとつはもとの身にして
恋歌二
左大將に侍りける時家に百首歌合し侍りけるに
忍戀のこころを
洩らすなよ雲ゐるみねの初しぐれ木の葉は下に色かはるとも
※宮内庁書陵部蔵は、たぐへ来る(秋歌下444)を撰歌。
古今集 雑歌下 読人知らず
たがみそぎゆふつけ鳥か唐衣たつたの山にをりはへて鳴く
※俊成三十六人歌合でも業平詠となっているが、古今集では読み人知らず。定家八代集抄にも読み人知らずで入撰。
恋歌二
家に百首歌合し侍りけるに祈戀といへるここ
ろを
幾夜われ波にしをれて貴船川そでに玉散るもの思ふらむ