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Channel: 新古今和歌集の部屋
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彰考館蔵百人一首 かささぎの渡せる橋

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新古
鵲のわたせるはしにをく霜の白きをみれは夜そふけにける
此鵲の橋の事七夕の事にいへる烏鵲成橋登坂車線各別の事也。此哥の鵲橋は只天の事也。哥の心は霜満天と云義はかり也。家持か闇夜に起出て月もなくさえさえたる天にむかひて吟し出たる所也。霜の天に満たるとて眼前にふりたる霜にはあらす。晴夜の寒天さなから霜の満たるも見ゆるやうなる躰也。此義御説也。祇注に冬ふかく月もなく雲も晴たる夜霜は天にみちてさえ/\たる深夜なとにおき出て此哥を思はゝ感情かきり有へからすとあり。又鵲の橋の事きかねは事外枠大事に天皇のきけは又あまりにたやづきやうなるにより人の信もあさき事に成侍る間かきあらはし侍らすとあり。葬儀所なとまてはかやうにかきてヒセツにせしを末代の人は心あさきにや申あらはし侍る也。
大和物語云泉大将ひたりのおほいとのへまうて給へけり。外にて酒なとまいりてゑひて夜いたうふけてゆくりもなく物し給へり。おとゝおとろきていつくに物し給へるたよりにかあらんなときこえ給てみかうしあけさはくに壬生忠岑卿ともにあり。みはしのもとに松ともしなからひさまつきて御せうそこ申す。  鵲のわたせる橋の霜のうへを夜はにふみわけことさらにこそ となんの給と申す。あるしのおとゝあはれにおかしくおほしてその夜ひとよおほみきまいりあそひ給て大将も物かつき忠岑もろく給なとしけりと云々。猶略之。此哥も家持の鵲橋と同事にや侍らん。

彰考館蔵百人一首(幽斎抄)
宗祇抄を注釈の骨格とし、三条西家の説を継承する三条西実枝の講釈を取捨して細川幽斎がまとめたもの。慶長元年成立。

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