これは、令和の原典が文選にあると主張するものでは無く、万葉集が文選の影響をかなり受けていると言う証を示す為である。
令和発表後、文選をアップする者がいるかと思ったが、そう考える者はおらず、それならと言うので、原文と訓文をアップする。
政府が帰田賦を典拠としなかったのは、張衡が重く用いられず、官を辞す時の賦で、「無明略以佐時」や「超埃塵以遐逝 與世事乎長辭」など世の中を疎んじた様子の賦では、元号として相応しく無いとも考えたのでは?と思う。
文選
歸田賦
張平子
遊都邑以永久 無明略以佐時 都邑に遊びて以て永久なるも、明略以て時を佐くる無し。
徒臨川以羨魚 俟河清乎未期 徒に川に臨みて魚を羨み、河の清むことを俟てども未だ期あらず。
感蔡子之慷慨 從唐生以決疑 蔡子の慷慨(かうがい)するに感ず、唐生に従ひて以て疑ひを決せり。
諒天道之微昧 追漁父以同嬉 天道の微昧なるを諒とし、漁父を追ひて以て嬉びを同じくす。
超埃塵以遐逝 與世事乎長辭 埃塵を超えて以て遐く逝き、世事と長く辞す。
於是仲春令月 時和氣清 是に於て仲春令月、時和し気清し。
原隰鬱茂 百草滋榮 原隰(げんしふ)鬱茂し、百草滋栄す。
王雎鼓翼 鶬○哀鳴 王雎(わうしよ)翼を鼓し、鶬○(さうかう)哀しみ鳴く。
交頸頡頏 關關嚶嚶 頸を交へて頡頏(けつかう)し、関関嚶嚶たり。
於焉逍遙 聊以娛情 焉に於て逍遙し、聊か以て情を娯しましむ。
爾乃龍吟方澤 虎嘯山丘 尓して乃ち竜のごとくに方沢に吟じ、虎のごとくに山丘に嘯く。
仰飛纖繳 俯釣長流 仰ぎて繊繳を飛ばし、俯して長流に釣る。
觸矢而斃 貪餌吞鉤 矢に触れて斃れ、餌を貪りて釣を呑む。
落雲閒之逸禽 懸淵沈之鯋鰡 雲間の逸禽(いつきん)を落とし、淵沈の鯋鰡(さりう)を懸く。
於時曜靈俄景 係以望舒 時に曜霊(えうれい)景を俄け、係ぐに望舒(ばうじよ)を以てす。
極般遊之至樂 雖日夕而忘劬 般遊の至楽を極め、日夕くと雖も劬るるを忘る。
感老氏之遺誡 將回駕乎蓬廬 老氏の遺誡に感じ、将に駕を蓬廬に廻らさんとす。
彈五絃之妙指 詠周孔之圖書 五絃の妙指を弾じ、周孔の図書を詠ず。
揮翰墨以奮藻 陳三皇之軌模 翰墨を揮ひて以て藻を奮ひ、三皇の軌模を陳ぶ。
苟縱心於物外 安知榮辱之所如 苟くも心を物外に縦たば、安くんぞ栄辱の如く所を知らん。
○:庚に鳥
令和発表後、文選をアップする者がいるかと思ったが、そう考える者はおらず、それならと言うので、原文と訓文をアップする。
政府が帰田賦を典拠としなかったのは、張衡が重く用いられず、官を辞す時の賦で、「無明略以佐時」や「超埃塵以遐逝 與世事乎長辭」など世の中を疎んじた様子の賦では、元号として相応しく無いとも考えたのでは?と思う。
文選
歸田賦
張平子
遊都邑以永久 無明略以佐時 都邑に遊びて以て永久なるも、明略以て時を佐くる無し。
徒臨川以羨魚 俟河清乎未期 徒に川に臨みて魚を羨み、河の清むことを俟てども未だ期あらず。
感蔡子之慷慨 從唐生以決疑 蔡子の慷慨(かうがい)するに感ず、唐生に従ひて以て疑ひを決せり。
諒天道之微昧 追漁父以同嬉 天道の微昧なるを諒とし、漁父を追ひて以て嬉びを同じくす。
超埃塵以遐逝 與世事乎長辭 埃塵を超えて以て遐く逝き、世事と長く辞す。
於是仲春令月 時和氣清 是に於て仲春令月、時和し気清し。
原隰鬱茂 百草滋榮 原隰(げんしふ)鬱茂し、百草滋栄す。
王雎鼓翼 鶬○哀鳴 王雎(わうしよ)翼を鼓し、鶬○(さうかう)哀しみ鳴く。
交頸頡頏 關關嚶嚶 頸を交へて頡頏(けつかう)し、関関嚶嚶たり。
於焉逍遙 聊以娛情 焉に於て逍遙し、聊か以て情を娯しましむ。
爾乃龍吟方澤 虎嘯山丘 尓して乃ち竜のごとくに方沢に吟じ、虎のごとくに山丘に嘯く。
仰飛纖繳 俯釣長流 仰ぎて繊繳を飛ばし、俯して長流に釣る。
觸矢而斃 貪餌吞鉤 矢に触れて斃れ、餌を貪りて釣を呑む。
落雲閒之逸禽 懸淵沈之鯋鰡 雲間の逸禽(いつきん)を落とし、淵沈の鯋鰡(さりう)を懸く。
於時曜靈俄景 係以望舒 時に曜霊(えうれい)景を俄け、係ぐに望舒(ばうじよ)を以てす。
極般遊之至樂 雖日夕而忘劬 般遊の至楽を極め、日夕くと雖も劬るるを忘る。
感老氏之遺誡 將回駕乎蓬廬 老氏の遺誡に感じ、将に駕を蓬廬に廻らさんとす。
彈五絃之妙指 詠周孔之圖書 五絃の妙指を弾じ、周孔の図書を詠ず。
揮翰墨以奮藻 陳三皇之軌模 翰墨を揮ひて以て藻を奮ひ、三皇の軌模を陳ぶ。
苟縱心於物外 安知榮辱之所如 苟くも心を物外に縦たば、安くんぞ栄辱の如く所を知らん。
○:庚に鳥