百人一首改観抄 契沖
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○後京極摂政前太政大臣きり/\なくや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかもねん 新古今集秋下百首の哥奉りし時と有。きり/\ すは詩経の十月の篇に有。きり/\すの寒きに したかひて次㐧に家の暖氣をたのみ來るをいへる なり。詩経に蟋蟀の床の下に入る時に冬がまへを![]()
して穹窒といへり。今霜夜のさむしろといふに 床に入の心をいひ又霜夜の寒きといふ心にも つゝけ給へり。衣かたしきは丸ねの心なり。伊勢物語 さ莚に衣かたしきこよひもや恋しき人にあはてのみねん 又上の山鶏の尾のといふ哥をも思ひ給へるなるへし。 上の哥は寒き夜を長き夜をいひたる内に夜寒の心をこ め此哥は夜寒をいひて長き夜の心をふくめる なり。又萬葉集㐧十 蟋蟀之待歡秋夜乎寐驗無枕與吾者 是もひとりねの心をよめれは相叶へり。又萬葉![]()
集㐧十九紀伊國作 吾恋妹相佐受玉浦丹衣片敷一鴨將寐 万葉集はひろきものなれは下句此全句なる事をお ほえ給はざりけるなるへし。
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○後京極摂政前太政大臣きり/\なくや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかもねん 新古今集秋下百首の哥奉りし時と有。きり/\ すは詩経の十月の篇に有。きり/\すの寒きに したかひて次㐧に家の暖氣をたのみ來るをいへる なり。詩経に蟋蟀の床の下に入る時に冬がまへを

して穹窒といへり。今霜夜のさむしろといふに 床に入の心をいひ又霜夜の寒きといふ心にも つゝけ給へり。衣かたしきは丸ねの心なり。伊勢物語 さ莚に衣かたしきこよひもや恋しき人にあはてのみねん 又上の山鶏の尾のといふ哥をも思ひ給へるなるへし。 上の哥は寒き夜を長き夜をいひたる内に夜寒の心をこ め此哥は夜寒をいひて長き夜の心をふくめる なり。又萬葉集㐧十 蟋蟀之待歡秋夜乎寐驗無枕與吾者 是もひとりねの心をよめれは相叶へり。又萬葉

集㐧十九紀伊國作 吾恋妹相佐受玉浦丹衣片敷一鴨將寐 万葉集はひろきものなれは下句此全句なる事をお ほえ給はざりけるなるへし。
