兼載雑談
、彷彿千聲一度飛。此の詩の心は、一度とは一聲飛びながら鳴きたるも、斷腸の心は千聲といへり。此の詩に、西行のなかずともこゝをせにせむのうたを、後鳥羽院あはせ給へり。此の歌もたゞの所にて千聲鳴きたるよりも、爰にてなかぬは感のまさるとなり。一、ゆきやらで山路くらしつ時鳥今ひと聲のきかまほしさにこの心は、一聲やきかむとて、今鳴きたる跡をさらで暮したるとなり。二聲ときかずは出でじとあるうたも、此の歌などの心なり。宗尊親王の歌に、ゆきやらで山路くらせる時鳥今一こゑは月に鳴くなり
※香山館聽子規
楚塞餘春聽漸稀
斷猿今夕譲沾衣
雲埋老樹空山裏
彷彿千聲一度飛
、彷彿千聲一度飛。此の詩の心は、一度とは一聲飛びながら鳴きたるも、斷腸の心は千聲といへり。此の詩に、西行のなかずともこゝをせにせむのうたを、後鳥羽院あはせ給へり。此の歌もたゞの所にて千聲鳴きたるよりも、爰にてなかぬは感のまさるとなり。一、ゆきやらで山路くらしつ時鳥今ひと聲のきかまほしさにこの心は、一聲やきかむとて、今鳴きたる跡をさらで暮したるとなり。二聲ときかずは出でじとあるうたも、此の歌などの心なり。宗尊親王の歌に、ゆきやらで山路くらせる時鳥今一こゑは月に鳴くなり
※香山館聽子規
楚塞餘春聽漸稀
斷猿今夕譲沾衣
雲埋老樹空山裏
彷彿千聲一度飛