絵入自讚歌注 宗祇
取てしかも我尋ぬべき宿はをちこちの山にへだてられてさかひもしらぬ折ふしあさまのけぶりをみてわがしるべ共ならなねばいたづらに立やといへるにこそ侍らめ。ことがら珍重の事にこそ。又ある註にぢごくのこゝろをいへり。尋べし。 秌の色をはらひはてゝや久かたの 月のかつらに木がらしのかぜひさかたの月のひかりあきらかなるに木がらしの吹はらひていとゞくまなき月をみて月のかつらの葉をもつくしけるにやといふ心にぞ。これ又風骨いかめしくきこゆる哥にぞ。
なれ/\て見しはなごりの春ぞとも などしら河のはなの下かげこれは最勝寺のまりのかゝりの桜かれてなをされしとき過し年/\春毎に立なれしこの木の下のなごりを思ひてよめるとぞ。など白河は花にたいしていふなり。此花の木のかれたるをしのびてよめる哥にこそ。まこと哀れあさからず。 君がよにあへるばかりの道はあれど 身をばたのまず行すゑの空時代のめぐみをもよくほめたるうたなり。又此道はあれどゝは哥鞠両道にあへるをいへり。され
ども身によりてなをゆくすゑたのまずといへる君徳をこふるよしなり。又ある註にゆくすゑの儀後世のことをいへり 草まくらむすびさだめんかたしらず ならはぬ野べの夢のかよひぢことはりみるまゝにこそ。ある註に我だにいまだまくらをもさだめぬ野べなれば夢はみえしとなり。
取てしかも我尋ぬべき宿はをちこちの山にへだてられてさかひもしらぬ折ふしあさまのけぶりをみてわがしるべ共ならなねばいたづらに立やといへるにこそ侍らめ。ことがら珍重の事にこそ。又ある註にぢごくのこゝろをいへり。尋べし。 秌の色をはらひはてゝや久かたの 月のかつらに木がらしのかぜひさかたの月のひかりあきらかなるに木がらしの吹はらひていとゞくまなき月をみて月のかつらの葉をもつくしけるにやといふ心にぞ。これ又風骨いかめしくきこゆる哥にぞ。
なれ/\て見しはなごりの春ぞとも などしら河のはなの下かげこれは最勝寺のまりのかゝりの桜かれてなをされしとき過し年/\春毎に立なれしこの木の下のなごりを思ひてよめるとぞ。など白河は花にたいしていふなり。此花の木のかれたるをしのびてよめる哥にこそ。まこと哀れあさからず。 君がよにあへるばかりの道はあれど 身をばたのまず行すゑの空時代のめぐみをもよくほめたるうたなり。又此道はあれどゝは哥鞠両道にあへるをいへり。され
ども身によりてなをゆくすゑたのまずといへる君徳をこふるよしなり。又ある註にゆくすゑの儀後世のことをいへり 草まくらむすびさだめんかたしらず ならはぬ野べの夢のかよひぢことはりみるまゝにこそ。ある註に我だにいまだまくらをもさだめぬ野べなれば夢はみえしとなり。