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尾張廼家苞 哀傷歌4
尾張廼家苞 三 (初句は、後生悪趣におつる事をなげく也。二ノ句は、後生善所に生ぜん事をおもふ也。 おもふとは憶念皈命の義。一首の意は、等活無間の苦患をなげき、等覚妙覚の 樂果をねがふも、いつすべきことぞ。みな今生の業也。今生は老少不定なれば、たゞ 今すべき業なるを、後生ともしらずして、世上の人の月日をむなしく過る事と也。 釈教の哥にとりては、 かばかりなるはめでたし。...
View Article歌論 無名抄 頼政歌道にすける事
頼政哥道ニスケル事 俊恵云頼政卿はいみじかりける哥仙也。心のそこま で哥になりかへりてつねにこれをわすれず心に かけつゝ鳥の一聲なき風のそゝとふくにも まして花のちり葉のをち月の出入あめ雪な どのふるにつけてもたちゐおきふしに風情 をめぐらさずといふことなし。まことに秀哥の いでくるもことはりとぞおぼし侍し。かゝればしかるべき とき名あげたる哥ともおほくは疑作にてありけると...
View Article管弦 惟喬親王 和漢朗詠集巻子本コレクション
相如昔挑文君得莫使簾中子細聽和漢朗詠集 管弦付舞妓 聴弾琴 惟高親王相如昔挑文君得 相如は昔文君を挑んで得たり。莫使簾中子細聽 簾中をして子細に聴かしむることなかれ意訳司馬相如が昔、琴曲を弾いて卓王孫の娘文君の心を掴み駆け落ちした。だから簾中の貴婦人に子細に琴曲を聴かせてその過ちを繰り返してはならない。令和元年12月20日 肆點參
View Article絵入自讚歌注 雅経2
絵入自讚歌注 宗祇取てしかも我尋ぬべき宿はをちこちの山にへだてられてさかひもしらぬ折ふしあさまのけぶりをみてわがしるべ共ならなねばいたづらに立やといへるにこそ侍らめ。ことがら珍重の事にこそ。又ある註にぢごくのこゝろをいへり。尋べし。 秌の色をはらひはてゝや久かたの...
View Article酒 白居易 和漢朗詠集筆者不詳巻子本コレクション
臨風杪秌樹對酒長年人酔貎如霜葉雖紅不是春和漢朗詠集 酒 醉中対紅葉 白居易臨風杪秋樹 風に臨める杪秋(びょうしゅう)の樹對酒長年人 酒に対(むか)へる長年(ちょうねん)の人醉貎如霜葉 酔へる貎(かたち)は霜葉の如し雖紅不是春...
View Article源氏物語 朝顔 雪遊 昌盈画掛軸コレクション
雪のいたう降つもりたるうへに いまもちりつゝ松と竹とのけぢめ おかしうみゆる夕暮に人の 御かたちも光まさりてみゆ 時々につけても人の心を うつすめる 花紅葉の さかりよりも 冬の夜のすめる 月に 雪の光あひたる空こそ あやしう色なき物の身 にしみて此世の外の ことまで思ひなが...
View Article尾張廼家苞 哀傷歌5
尾張廼家苞 三 人におくれてなげきける人につかはしける 西行 なき跡の面かげをのみ身にそへてさこそは人の恋しかるらめ なき人とはいはで、なき跡の俤と ある。いさゝかあかぬこゝちす。穴賢。 なげく事侍ける人とはずと恨み侍ければ あはれとも心におもふほどばかりいはれぬべくはとひこそはせめ 初句ともはたゞとゝいふ意にて、もはそへたるのみ也。さ...
View Article酒 能宣 和漢朗詠集筆者不詳巻子本コレクション
有明のこゝちこそ すれさかづき のひかりも そひて いでぬと おもへ ば和漢朗詠集 酒有明のここちこそすれさかづきにひかげもそひていでぬとおもへば拾遺集 小忌にあたりける人の許にまかりたりければ女ども盃に 女蘿を添へて出したりければ...
View Article山 具平親王 和漢朗詠集筆者不詳巻子本コレクション
紈扇抛來青黛露羅帷巻却翠屏明和漢朗詠集 山遠山暮烟歛暮煙 後中書王(具平親王)廻望四山向暮程 廻望四山暮程に向ひ紅煙歛盡遠空晴谿東唯任殘陽照 渓東は唯残陽照るに任す嶺上何妨滿月生 嶺上は何満月の生れるを妨げる紈扇抛來青黛露 紈扇(ぐわんせん)抛(なげう)ち来つて青黛(せいたい)露る羅帷巻却翠屏明 羅帷(らゐ)巻き却けて翠屏(すいへい)明らかなり秋深眼路無繊靄...
View Article山 貫之 和漢朗詠集筆者不詳巻子本コレクション
なのみしてやまは みかさも なかり けり あさ日ゆふ日の さすに まかせて拾遺集紀貫之名のみして山は三笠もなかりけり朝日夕日のさすにまかせて令和元年12月20日 肆點參
View Article山水 大江朝綱 和漢朗詠集筆者不詳巻子本コレクション
山成向背 斜陽裏水似廻流 迅瀬間和漢朗詠集 山水春日山居 後江相公(大江朝綱)古洞春來對碧灣 古洞春来たりて碧湾に対す茶烟日暮與雲閑 茶烟日暮れと雲閑か山成向背斜陽裏 山は向背(きょうはい)を成す斜陽の裏(うら、うち)水似廻流迅瀨間 水は廻流に似たり迅瀬(じんらい)の間(あいだ)草色雪晴初布護 草の色は雪晴れて初めて布護す鳥聲露暖漸綿蠻 鳥の声は露暖かにして漸く綿蛮誰知圯上獨遊客...
View Article絵入自讚歌注 寂蓮2
絵入自讚歌註 宗祇みたるやうなればおし返して哀其うらみはだれならん。かぜの我うへにこそ其恨は侍れと云心にこそ。 むらさめのつゆもまだひぬまきのはに きりたちのぼるあきの夕ぐれむら雨のなごりの露まきのはやどりてその興たぐひなきにいまだ其露もひぬに霧立のぼりて興をそへたる心にや。是はたゞ見る様の躰にこそ。 さびしさはその色としもなかりけり...
View Article冬歌 山部赤人 今出川伊季筆百人一首色紙コレクション
山邊赤人ふじの 田子の浦 たかね に に うちい出て 雪は みれ ば ふり 白妙 つゝ の新古今和歌集第六 冬歌 題しらず 山部赤人田子の浦にうち出でて見れば白たへの富士の高嶺に雪は降りつつ万葉集巻第三 318 雑歌山部宿禰赤人望不尽山歌一首并短歌田児之浦従 打出而見者 真白衣...
View Article山水 高向草春 和漢朗詠集筆者不詳巻子本コレクション
かみなみのみむろの きしや くづるらん たつたのかは の みかさ まさりて和漢朗詠集 山水拾遺集 高向草春神なびのみむろのきしやくづるらんたつたの川の水のにごれる令和元年12月20日 肆點參
View Article尾張廼家苞 離別歌
尾張廼家苞 三 離別歌 みやこの外へまかりける人によみて贈ける 惟明親王 なごりおもふ袂にかねてしられける別るゝ旅の行末の空 (なごりとは、人にわかれて後その人の事がこゝろに残りてはなるゝ事なき 也。なごりおもふ袂とは、いまだ別れざるさきより、別れて後のこひしかる べき事をおもへばたもとのぬるゝ也。一首の意は別に臨みて、別れて後...
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