絵入自讚歌註 宗祇
欠落部分は、自讃歌註 - 国立国会図書館デジタルコレクションにより( )内に記載。 57コマより。![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/41/56f00f004c96dd0bbb98e7f253d3728c.jpg?1578797894)
西行法師
よし野山さくらが枝にゆきちりて はなをそげなるとしもあ(るかな) こゝろは明かなり。花をいそぐ心ふかく侍(るなり。) ながむとて花にもいたくなれ(ぬれば)
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/91/d38682b717991851587332a1c1df06af.jpg?1578797894)
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/4a/1b45fe23e8e39a313e465c6893faa30b.jpg?1578797923)
ちるわかれこそかなしかりけれ なに事ももの/\にこゝろをそみゆけばつゐ にそのなごりをくるしむることはりなり。 ある註に恋の心あり。花にものもの字にてき こえ侍る花のわかれさへかなしきになれたる人 にさへわかれんことをなげくよしなり。 あはれいかに草葉の露のこほるらん あきかぜたちぬ宮ぎのゝ(はら) 秋のはつかぜに宮ぎのゝつゆを思ふ(心あさからず。) 月みむとちぎりて出しふるさ(との) 人もやこよひ袖ぬらすら(ん)
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/c7/81cfd655f65dc24962413e1d7c9444e6.jpg?1578797923)
こゝろあきらかなり。 ある註にいづくにても月みむとき(はたがひに) 思ひ出よとあぢきなくちぎりをきし(心なり。後) 京極摂政の御うたにもこの心あそばし(侍るなり)
きり/"\す夜ざむに秋のなるまゝに よはるかこゑのとをざかり行 此哥きり/"\すの鳴所床ちかきこゑなどして ぞおぼえ侍る。あきらかなり。 ある註に夜ざむなればきり/"\家ちかくやかげ をたのみてきつるに又日〃夜〃にこゑのよ はればとをざかり行こゑのあはれなりと也。
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/ba/e10fae56b896bda2a7b072a919abd0e4.jpg?1578797995)
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/6d/d3a79de37ad08468877aa8daabefd1a6.jpg?1578797995)
つの国のなにはのはるは(夢なれや) あしのかれ葉に風わた(るなり) 此哥は春の空にあしのわか葉の(もえ出しを) 冬がれのころあらゝかにかぜうち吹た(る比思ひつゞ) けていへり。なにはの春とはよの中(のさかりも) 夢とそぐわんするよしなり。あしのは(のうへばかり) にては名哥にはなりがたく候 としたけて又こゆべしとおもひ(きや) いのちなりけりさよの中山 心はあきらか也。たゞ西行のうへをよく/(\おもひ) て此うたをみ侍らばそのかんあるべきに(こそ)
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/36/730b0312c2e2da05fdc586908a963732.jpg?1578798025)
ある註に西行二度東修行のときの(うた也。) ことはりふかく秀逸なり。
風になびくふじのけぶり空にき(えて) ゆくゑもしらぬわがおもひかな このことはりあきらかなり。 山ざとにうき世いとはん友も(がな) くやしくすぎし昔かたら(ん) これもこゝろはあきらかなり よし野山やがて出じとお(もふ身を) はなちりなばと人やまつ(らん) このうたもこゝろあきらかなり。
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/db/f6a668a7245ad9ac1aad9398a8001964.jpg?1578798025)
(此十首心ことば思ひのまゝへいくわいにいたく) (しかもまいしゆ其かんふかき事おほかたの哥) (人のおよぶ所にあらず。されば京極黄門は) (天下の哥を西行よみなをしたるといへり。く) (れ/"\しんぺんの哥人にこそ)
終わり
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/21/d3c1b45c06000a25c4493760c9e9aee8.jpg?1578798063)