孤花裹露
啼残粉
暮鳥栖風
守廃籬
向晩簾頭
生白露
終霄床底
見青天
和漢朗詠集 故宮 付破宅
題后妃旧院 良岑春道
孤花裹露啼殘粉 孤花露を裹んで残粉に啼く暮鳥栖風守廃籬 暮鳥風に栖んで廃籬守(まぼ)る
意訳一輪の紅花が露を含んで残っている。昔を慕って官女が涙を流すように。夕暮れの小鳥たちが、強い風の中でも荒れた籬に留まっている。昔の女院を守るように。
※関戸本、伊行本はこの詩を欠く。
屋舎壊 三善善宗
向晩簾頭生白露 晩にななむとして簾の頭(ほとり)に白露を生(な)す終霄床底見青天 終宵(よもすがら)床の底(もと)に青天を見る
意訳屋根が壊れているので、晩になろうとすると簾の鴨居辺りは白露が降りている。よもすがら、床の底に寝ながら青天を見ている。
※行成本、寛永本私注晩→暁※公任本天→空
令和元年12月20日 肆點參