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Channel: 新古今和歌集の部屋
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美濃の家づと 二の巻 秋歌下7

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題しらず        西行

松にはふまさ木のかづら散りにけり外山の秋は風すさぶらん

風すさぶは吹あるゝをいふ。 古き抄に、すさぶは、物のす

がりたるをいふといへるは、此哥にかなはう。又まさきのかづ

らの長くつたはりといへど、嵐のはげしきに、散ぬらん。なに

事も、はてはある物ぞといふ意を、風すさぶらんとよめる也

といへるも、いみじきひがごとなり。さる意あることなし。

家の百首の哥合に    摂政

立田姫いまはのころの秋風にしぐれをいそぐ人の袖哉

めでたし。 立田姫は、四の句へかゝれり。 今はの

ころの秋とは、暮秋をいふ。 風はしぐれのよせなり。

 しぐれをいそぐとは、世の人の、秋の別をゝしみてな

くなみだのおつるを、立田姫の、しぐれをふらせて、木葉を

染るごとくに、人の袖にも時雨をふらせて、そめむとする

よしにいひなせるなり。いそぐとは、事をいとなむをい

ひて、立田姫の、時雨をいそぐといふは、しぐれをふらせて

染ることを、いとなむよし也。 此うた、いとたくみにして、

よくとゝのへり。

五十首哥よませ侍けるに 守覚法親王

身にかへていざゝば秋を惜み見むさらでももろき露の命を

二の句、さばは、さらばなり。 下句、秋にかへずとても、もろ

き命なる物をといへるなり。

 

書き込み




欄外
こゝ問へり
日本歌学全出一〇〇ウ
鶉なくノ歌ヨリカキ入る也。

 


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