赤染衛門集 尾張真清田宮
そのころ国人はらだつことありて、田もつくらじ たねとりあげほしてんといふときゝて、また、ますだの み社といふ所にまうでたりしに、神にまうさせし賎の男のたねほすといふ春の田を 作りますだの神にまかせん かくてのち、田みなつくりてきとぞ 赤染衛門...
View Article美濃の家づと 二の巻 秋歌下3
千五百番哥合に 定家朝臣 秋とだに忘れんと思ふ月影をさもあやにくにうつ衣かな めでたし。 初句、だには、俗になりともといふ意。 三の句のを°は、なるものをの意。四の句、さもは、俗にさてもといふ 意。あやにくには、いぢわろくといふ意也。一首の意は、月のさ やかなるまゝに、秋のかなしさのたへがたきにつきて、思へる意 にて、せめて秋ぞといふことを、わすれなりともせえばやと思...
View Article美濃の家づと 二の巻 秋歌下4
秋の御哥とて 太上天皇御製 さびしさはみ山の秋の朝ぐもりきりにしをるゝ槙の下露 此御初句は、云々槙の下露のさびしさと、終りにおくと 同じ心にて,一ツの格なり.此格を心得ぬ人は,うたがふこと也. 川霧 通光卿 明ぼのや川せの波のたかせ舩くだすか人のそでの秋霧 めでたし。下句詞めでたし。二三の句は、舩をくだせば、 舩にあたる波の音の高きをいふ。 人の袖の秋霧とは、...
View Article美濃の家づと 二の巻 秋歌下5
題しらず 俊成卿女 あだにちる露の枕にふしわびてうづらなくなり床の山風 床の山は、枕のよせなり。 千五百番哥合に とふ人もあらし吹そふ秋はきて木葉にうづむやどの道芝 めでたし。 とふ人はあらまじき秋の来て、嵐の ふきそひぬれば、やどの道も、木葉にうづみて、とふ人なしと なり。 又は秋の来て、嵐も吹そひて、道は木葉にうふ もれたれば、今はとひくる人もあるまじ共聞ゆ。 秋は来...
View Article百人一首全 松月堂文影筆 蔵書
百人一首 全百人一首 全 お のゝこまち 小野小町 はな いろ 花の色はなが うつりにけりな め いたづらにせし みまに わが身よにふる じゆんとくいん 順 徳 院 ももしき 百敷やむ ふるきのきはの か し しのぶにもなり なをあまりあるけり此一書者紀伊中納言殿家人 山本忠右衛門弟子 小倉吉左衛門○之 門弟 松月堂文朝寫 印
View Article美濃の家づと 二の巻 秋歌下6
摂政大将に侍けるとき百首哥よませ侍けるに 寂蓮 かさゝぎの雲のかけはし秋くれてよはには霜やさえ渡るらん 鵲の雲のかけはしとはいかゞ。雲井のといふことなるべきを、 さはいひがたき故の、しひごとなるべし。 又古哥に√おく 霜の白きを見ればとあれば、其うへをめづらしくいはむ こそほいならめ。たゞ霜やさあえ渡るらんとのみにては、いと よわく、何の詮もなし。渡るといふ橋の縁のみ也。...
View Article百人一首全 持統天皇、赤人、家持、伊勢、兼輔 蔵書
ぢ とうてん のう 持統天皇 はるすぎ 春過て あ なつ ま 夏きにけらし の しろたへ か 白妙の く ころも 山 衣ほすてふ やまべの あかひと 山邊赤人 たご うら 田子の浦に ゆき いて 雪 うち出て は しろたへ みれは白妙の ふり つゝ ふじのたかねに ちうな...
View Article百人一首 後徳大寺左大臣、道因法師 筆者不明断簡コレクション
後徳大寺左大臣ほとゝぎすなきつるかたをみわたせばたゞ有明のつきぞのこれる 道因法師おもひわびさても命はあるものを ナミダうきにたえぬは涙なりけり千載集暁聞時鳥といへる心をよみ侍りけるほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞのこれる千載集題しらず 思ひわびさても命はあるものを憂きにたへぬは涙なりけり令和2年4月1日 參
View Article美濃の家づと 二の巻 秋歌下7
題しらず 西行 松にはふまさ木のかづら散りにけり外山の秋は風すさぶらん 風すさぶは吹あるゝをいふ。 古き抄に、すさぶは、物のす がりたるをいふといへるは、此哥にかなはう。又まさきのかづ らの長くつたはりといへど、嵐のはげしきに、散ぬらん。なに 事も、はてはある物ぞといふ意を、風すさぶらんとよめる也 といへるも、いみじきひがごとなり。さる意あることなし。 家の百首の哥合に...
View Article百人一首全 好忠、儀同三司母、紫式部、兼輔、清輔 蔵書
そ ねのよしたゞ 曽祢好忠 ゆらのとを こひ わたるふなひと の かぢをたへ みち ゆく ゑ 行末もしらぬ かな ぎ どうさんしのはゝ 儀同三司母 わすれじの いの ゆくすへ ち までは とも かたければ かな けふをかぎりの むらさきしきぶ 紫式部 めぐりあひて よ 見しやそれ は...
View Article百人一首全 寂蓮、式子内親王、九条良経、飛鳥井雅経 蔵書
しやくれん ほうし 寂蓮法師 むらさめの あ つゆもまだひぬ き は の まきの葉に ゆう きり くれ 霧たちのぼる しよくし ないしんわう 式子内親王 たまのをよ よ たへなばたえね はり ながらへは もぞ しのぶることの するご きやうごくせつしやうさきのだいしやうだいじん後京極摂政前太政大臣 きり/\す...
View Article百人一首拾穂抄 藤原兼輔 蔵書
中納言兼輔 号堤中納言 良門孫右中將利基子也。母伴氏。作者部類云、延長 五年中納言。承平三年薨云云從三位。左兵衛督。 みかのはらわきてながるゝいづみ河いつみきてとてか恋しかるらん 新古今恋一題しらず云云。瓶原泉河山城の名所也。 わきてながるゝは泉といはん縁語也。いづみ河はいつ 見きとてかといはんとての詞也。いつみきとてとは いつみたると云事にかと也。此上句は人丸√都いでゝけふ...
View Article万葉集巻第五 鎮石歌 長崎大学医学部正門前
山上臣憶良詠鎮石歌一首並短謌 筑前國怡土郡深江村子負原臨海丘上有二石大者長一尺二寸六分圍一尺 八寸六分重十八斤五兩小者長一尺一寸圍一尺八寸重十六斤十兩並皆橢 圓状如鷄子其美好者不可勝論所謂徑尺璧是也 (或云此二石者肥前國彼杵 郡平敷之石當占而取之) 去深江驛家二十許里近在路頭公私徃來莫不下馬跪拜古老相傳曰徃者息...
View Article百人一首2 凡河内躬恒 筆者不明断簡コレクション
凡河内躬恒こゝろあてにおらばやおらん初しものおきまどはせるしらぎくの花古今和歌集 白菊の花をよめる 凡河内躬恒 心あてに折らばや折らむ初霜の置き惑はせる白菊の花百人一首28 山里は冬ぞさびしさまさりける 人めも草もかれぬと思へば 源宗于朝臣29 心あてに折らばや折らむ初霜の おきまどはせる白菊の花 凡河内躬恒 源宗于朝臣 ツヾキ令和2年4月3日 壱點弐
View Article葛飾北斎 百人一首乳母が絵説 在原業平 浮世絵復刻コレクション
前北斎 百人一首 乳母が絵説 在原業平 千早振 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くゝるとは 伊勢物語百六段 むかし、男、親王たちの逍遥したまふ所にまうでて、龍田河のほとりにて、 ちはやぶる神代も聞かず龍田河 からくれなゐに水くくるとは 古今集 二条の后の春宮の御息所と申しける時に、御屏風に...
View Article百人一首拾穂抄 曽根好忠 蔵書
曽根好忠 号曽丹 御抄云、先祖不詳。寛和比人也。任丹後掾作者部 類同〃 袋草子云曽丹は丹後掾也。而姓は号曽 丹後掾其後号曽丹後◯◯にふりて号曽丹 也。此時好忠歎云いつソタといはれんづらん云云。 由良のとを渡る舟人梶をたえ行衛もしらぬ恋のみち哉 新古今恋一、題しらず云云。序哥也。由良(ユラノ)渡(ト)紀伊 国也。哥心は御抄云、大海を渡る舟の梶なからんはた...
View Article歌論 無名抄 喜撰住事
喜撰が跡 又みむろとのおくに廿よ丁ばかり山中へ入て うぢ山のきせがすみけるあとあり。いへはなけれど たうの石ずゑなどさだかにあり。これらかならず たづねてみるべきなり。 ◯喜撰 平安初期の僧。六歌仙。 小倉山百人一首全 㐂撰法師 我いほは 都の たつみ しかぞ すむ世をうぢ 山と 人はいふなり...
View Article百人一首拾穂抄 儀同三司母 蔵書
儀同三司母 前掌侍貴子 作者部類 高内侍後拾遺 御抄云高階業(成イ)忠後号高二位女也。中関白道隆公室。儀同 三司伊周公、中宮定子◯之母也云云。大鏡云、高内侍事 それはよくとしき△◯にて御◯の飛△には◯は 事よつられしはとよ。◯くの◯のたにはまさりてこそ きたし侍しか云云 儀同三司伊周、御抄云、長徳二年 四月廿四日有◯左遷太宰府見栄花物語浦々別巻同三年...
View Article百人一首巻子本3 左京大夫道雅 蔵書
今はたゝおもひたえ なむとはかりを 人つてならてい ふよしもかな 後拾遺集 伊勢の斎宮わたりよりまかり上りて侍りける人に、忍びて通ひけることを、 おほやけも聞こしめして、守り女など付けさせ給ひて、忍びにも通はずなり にければ、詠み侍りける 左京大夫道雅今はただ思ひ絶えなんとばかりを人づてならでいふよしもがな 平成28年11月9日 壱點貮
View Article歌論 無名抄 歌つくろへば悪事
哥ヲイタクツクロヘバ必劣事 覺盛法師が云哥はあら/\しくとめもあはぬやう なるひとつのすがた也。それをあまりさいくみて とかくすればはてにはまれ/\物めかしかりつる 所さへうせてなにゝてもなきこものになるなりと 申しし。さもときこゆ。 季経卿哥に としをへてかへしもやらぬおやまだは たねかす人もあらじとぞおもふ この哥ゑんなるかたこそなけれどひとふしいひて...
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