春 立春 公乗億 逐吹潛開不待芳菲之候迎 春乍変將希雨露之恩 篤茂 池氷東頭風度解窓北面雪對寒 白居易 柳氣力條先動池有波文氷盡開 今日不知誰計会春風春水〔一時來〕 立春日内園進花賦 紀淑望 吹(かぜ)を逐て潛(ひそか)に開く芳菲(ほうひ)の候(こう)を待またず、 春を迎へて乍(たちまち)に変ず将に雨露(うろ)の恩を希(ねがわ)んと。 立春日書懐呈芸閣諸文友 篤茂 池の氷の東頭は風渡て解け、窓の梅の北面は雪に対し寒し。 府西池 白居易 柳気力無く条(えだ)先づ動き、池に波の文(もん)有て尽(ことごと)く開。 今日は知らず誰計会(けいかい)せし、春の風春の水〔一時に来る〕 (良春道)
夜向残更寒磬盡春生香火〔曉爐燃〕 としのうちにはるはきにけりひとゝせを こぞとやいはむことしとやいはむ 元方 袖ひぢてむすびしみづのこほれるを はるたつけふのかえやとくらむ 貫之 春たつといふばかりにやみよし野の 山もかすみてけさはみゆらむ 忠岑 早春 元稹 氷消田地蘆錐短春入枝條柳眼低 〔白〕 先遣和風報消息續教啼鳥説來〔由〕 宿石山寺立春朝作 良峯春道 夜は残更に向とめ寒磬尽ぬ。春香火に生(なっ)て〔暁炉燃ゆ〕 古今和歌集 ふる年に春立ちける日よめる 在原元方 年の内に春は来にけりひととせを去年とはいはむ今年とやいはむ 春立ちける日よめる 紀貫之 袖ひぢて結びし水の凍れるを春立つけふの風やとくらむ 拾遺集 平さだふんが家に歌合し侍りけるに 壬生忠岑 春立つといふばかりにやみ吉野の山も霞てけふは見ゆらむ 寄楽天 元稹 氷り田地に消て芦錐短し。春枝条に入て柳眼(りゅうがん)〔低(た)れり〕 潯陽の春 春生 白居易 先和風を消息を報ぜしむ。続て啼鳥を来〔由(らいゆう)を〕説かしむ
東岸西岸之柳遅速不同〔南〕 保胤 枝北枝之梅開落已異 野相公 紫塵嬾蕨人拳手碧玉寒蘆錐脱嚢 都良香 氣霽風梳新柳髪氷消波洗旧苔鬚 紀納言 庭増氣色晴沙綠林變容輝宿雪紅 いはそゝぐたるひのうへのさわらびの もえいづるはるになりにけるかな 志貴皇子 やまかぜにとくるこほりのひま〔ごとに〕 うちいづるなみやはるのはつ〔はな 當純〕 早春同賦春生遂地形詩序 慶滋保胤 東岸西岸の柳遅速同じからず。南枝北枝の梅開已に異なり。 早春晴後 小野篁 紫塵の嬾(わかき)蕨人手を拳(にぎ)る。碧玉の寒き芦錐嚢を脱す。 内宴春暖 都良香 気霽ては風新柳(しんりゅう)の髪を梳(けず)り、氷消ては波旧苔の鬚を洗 草樹暗迎春 紀長谷雄 庭に気色を増せば晴沙緑なり。林容輝(ようくゐ)を変ずれば宿雪紅なり。 新古今和歌集 巻第一 春歌上 題しらず 志貴皇子 岩そそぐたるひの上のさ蕨の萌えいづる春になりにけるかな 読み:いわそそぐたるひのうえのさわらびのもえいずるはるになりにけるかな 隠 作者:岩に落ちるツララ(※垂水の場合は、滝)の水のほとりの初蕨が萌え出る春となったな~。 作者:しきのみこ?~715or716天智天皇の皇子。施基皇子とも書く。光仁天皇の父。 万葉集 第八巻 1418。古今和歌六帖。和漢朗詠集。歌枕名寄、新古今注、新古今和歌集抄出聞書(陽明文庫) 万葉集巻第八 1418 春雜歌 志貴皇子懽御歌一首 石激 垂見之上乃 左和良妣乃 毛要出春尓 成来鴨 古今和歌集 寛平御時后宮の歌合の歌 谷川にとくる氷の隙ごとにうち出る波や春の初花 ※古今集では、谷川となっている。