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かり。いはんや川原などには馬車の行ちがぶ
みちだにもなし。あやしき賤山がつも力つき
て、薪にさへともしくなりゆけば、たのむかた
なき人はみづがら家をこぼちて市に出
てうるに、一人が持出ぬるあたひ、猶一日が命
をさゝふるにだに及ばずとぞ。あやしき
ことはかゝる薪の中に丹つき、白がねこがねの
はく所〃につきて見ゆる。木のわれあひま
しれり。これを尋ればすべき方なき者
の古寺に至りて仏をぬすみ堂の物の
具をやふり取てわりくたけるなりけり。
かり。いはんや川原などには、馬車の行ちがふ道 だにも無し。あやしき賤山がつも力尽きて、薪に さへ乏しくなりゆけば、頼む方無き人は自ら 家をこぼちて市に出て売るに、一人が持ち出ぬ る値、猶一日が命をさゝふるにだに及ばずとぞ。 あやしきことは、かかる薪の中に丹付き、白がね、 こがねの箔、所々に付きて見ゆる。木のわれ、 あひまじれり。これを尋れば、すべき方なき者 の、古寺に至りて、仏をぬすみ、堂の物の具(ぐ) をやぶり取て、割り砕けるなりけり。 (参考)前田家本 かり。況や、河原、白河などには、馬車の行き交ふ道 だに無し。賤しき賤、山賤も力尽きて、薪 さへ乏しく成り行けば、頼む方なき人は、自ら 家を毀ちて、市に出でて売る。十人が持ちて出でた る価、猶一日が命にだに、及ばず。 奇しきことは係る薪の中に、赤き丹付き、 箔など所々に見ゆる木、 相混じはれり。これを尋ぬれば、すべき方無き者 の、古き寺に至りて仏をぬすみ、堂の物の具足 を破りて割り砕けるなりけり。 (参考)大福光寺本 カリイハムヤカハラナトニハ馬車ノユキカフ道 タニナシアヤシキシツヤマカツモチカラツキテタキゝ サヘトモシクナリユケハタノムカタナキ人ハミツカラ 家ヲコホチイチニイテゝウル一人カモチテイテタ ルアタヒ一日カ命ニタニ不及トソ アヤシキ事ハ薪ノ中ニアカキニツキ ハクナト所々ニミユル木 アヒマシハリケルヲタツツヌレハスヘキカタナキ物 フル寺ニイタリテ仏ヲヌスミ堂ノモノゝ具 ヲヤフリトリテワリクタケルナリケリ![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/c1/57ecad22e323f0a0d8afee421b06162d.jpg?1595116668)
してまかり出侍ることを、朝 くらや木の丸殿に我をれ ばなのりをしつゝゆくは誰 が子ぞと詠じ給ひし也。 此時天皇は、◯◯の皇子 にをそいれ給ひて◯人に 心づかひをし給ひし時 の事なるべし。 古郷はすでにあれて新都 はいまだならず 伊勢物 語に、ならの都ははなれ 此京は人の家まだ定ま らざりけるといへる◯◯也。 浮雲の思 論語於如我浮雲 土木の煩 かべをぬるべきつ ちなく家をたつべき ※朝くらや 新古今和歌集巻第十七 雑歌中 天智天皇 朝倉や木の丸殿に我がおれば名告りをしつつゆくは誰が子ぞ よみ:あさくらやきのまろどにわがおればなのりをしつつゆくはたがこぞ ※伊勢物語に、 二段 ※ 論語 論語述而 不義而富且貴、於我如浮雲 大福光寺本
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