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Channel: 新古今和歌集の部屋
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鴨長明方丈記之抄 仮の庵1 数ならぬ類ひ

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ならぬたぐひ、盡してこれをしるべか

らず。たび/"\の炎上にほろびたる家

又いくそばくぞ。たゞかりの庵のみの

どけくして恐なし。程せばしといへども

夜ふす床あり。昼居る座あり。一身

をやどすに不足なし。がうなは、ちいさき

かひをこのむ。これよく身を知るによりて

なり。みさごは荒磯にゐる。すなはち

人をおそるゝにより也。我又かくのごとし。

身をしり世をしれらば、願はずまし

らわず、たゞしづかなるを望とし愁

    ならぬ類ひ、尽してこれを知るべからず。たびたびの炎 上に亡びたる家、又、いくそばくぞ。ただ、仮の庵のみ のどけくして、恐れなし。ほどせばしと云へども、夜臥す 床(とこ)あり。昼居る座あり。一身を宿すに不足なし。 がうなは、小さき貝を好む。これよく身を知るにより てなり。みさごは荒磯にゐる。すなはち、人を恐るるに より也。我又かくの如し。身を知り、世を知れらば、願 はず、ましらわず、ただ、しづかなるを望とし、愁   (参考)前田家本 ならぬ類ひ、尽くしてこれを記すべからず。たび/\の炎 上に滅びたる家、またいくそばくぞ。たゞ仮の庵のみ、 のどけくして恐れなし。ほど狭しといへども、夜臥す 床あり。昼ゐる座あり。身一をやどすに不足なし。 がうなは小さき貝を好む。これ身を知れるにより てなり。みさごは荒磯にゐる。すなはち人を恐るゝが故 なり。我また斯くの如し。身を知り、世を知れらば、願 はず、はしらず、ただ静かなるを望みとし、憂へ   (参考)大福光寺本 ナラヌタクヒツクシテコレヲシルヘカラス。タヒタヒ炎 上ニホロヒタル家又イクソハクソ。タゝカリノイホリノミ ノトケクシテヲソレナシ。ホトセハシトイヘトモヨルフス ユカアリ。ヒルヰル座アリ。一身ヲヤトスニ不足ナシ。 カムナハチヰサキカヒヲコノム。コレ事シレルニヨリ テナリ。ミサコハアライソニヰル。スナハチ人ヲゝソルゝカユヘ ナリ。ワレマタカクノコトシ。事ヲシリヨヲヲシレゝハネカ ハスワシラスタゝシツカナルヲ望トシウレヘ     笠取 山城 古今 元方 雨ふれど露ももらじを笠取の 山はいかでかもみぢそめけん     岩間 山城 本尊観音也。   石山 近江 縁起見尺書   新古今 藤原長能 都にも人やまつらん石山の 嶺にのこれる秌の夜の月 又粟津 近江 山王の祭  のとき粟の御供を神  に奉るゆへ粟津と  いふとや 後撰㐧三 せきこえてあはづのもりのあはすとも     ※新古今和歌集巻第十六 雑歌上  石山にまうで侍りて月を見てよみ  侍りける           藤原長能 都にも人や待つらむいし山のみねにのこれる秋の夜の月   よみ:みやこにもひとやまつらむいしやまのみねにのこれるあきのよのつき 隠   意味:東方の近江の石山で見ている月が、もうじき西の都にも出ていくだろう。それを今かと都で人が待っているのだろうか。石山の峰に入ろうとして残っている秋の夜の月よ       国土地理院地図による方丈の庵の位置の推計   近江八景 石山秋月 歌川広重   石山寺 十五夜夜間拝観

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