子夜呉歌 李白 長安一片月萬古擣衣聲秋風吹不 盡總是玉關情何日平胡虜良人罷 遠征 經下邳圯橋懐張子房 子房未虎嘯破産不爲家滄海得壯 士椎秦博浪沙報韓雖不成天地皆
震動潛匿遊下邳豈曰非智勇我來 圯橋上懷古欽英風唯見碧水流曾 無黄石公歎息此人去蕭條徐泗空 後出塞 杜甫 朝進東門營暮上河陽橋落日照大 旗馬鳴風蕭蕭平沙列萬幕部伍各 見招中天懸明月令嚴夜寂寥悲笳
數聲動壯士慘不驕借問大將誰恐 是霍嫖姚 王華宮 溪囘松風長蒼鼠竄古瓦不知何王 殿遺構絶壁下陰房鬼火青壞道哀 湍瀉萬籟眞笙竽秋色正蕭灑美人 爲黄土況乃粉黛假當時侍金輿故
物獨石馬憂來藉艸坐浩歌涙盈把 冉冉征途間誰是長年者 送別 王維 下馬飮君酒問君何所之君言不得 意歸臥南山陲但去莫復問白雲無 盡時 子夜呉歌 李白 長安、一片月。 万古、衣を擣つ声。 秋風吹き尽くさず。 総て是れ玉関の情。 何れの日か胡虜を平らげて、 良人遠征を罷めん。 下邳(ひ)の圯(い)橋を 経て張子房を懐(をも)ふ 李白 子房未だ虎嘯せざりしとき、 産を破って家を為さず。 滄海壯士を得て、 秦を椎す博浪沙。 韓に報じて成らずと雖ども、 天地皆、震動す。 潛匿より下邳に遊ぶ。 豈に智勇非ずと曰んや、 我、圯橋の上(ほと)りに来たって、 古へを懷ふて、英風を欽んず。 唯、碧水の流れを見る。 曽(すなは)ち、黄石公無し。 歎息す、此人去って、 蕭條として徐泗空しきを。 後の出塞 杜甫 朝(あした)に東門営に進み、 暮に河陽橋に上る。 落日、大旗を照らし、 馬鳴て風蕭蕭。 平沙、万幕を列ね、 部伍、各(おのおの)招か見る。 中天、明月を懸け、 令厳にして夜寂寥。 悲笳、数声動き、 壯士、慘として驕らず。 借問す、大将は誰ぞ。 恐らくは是れ霍嫖姚ならん。 王華宮 杜甫 溪囘って松風長し。 蒼鼠、古瓦に竄(かく)る。 知らず、何れの王の殿ぞ。 遺構、絶壁の下、 陰房、鬼火は青く、 壊道、哀湍瀉ぐ。 万籟、真の笙竽。 秋色、正に蕭灑(しょうしゃ) 美人、黄土に為る。 況んや乃はち粉黛仮をや。 当時、金輿に侍するは、 故物独り石馬。 憂へ来たって草を藉(しい)て坐せば、 浩歌、涙はして把に盈つ。 冉冉(ぜんぜん)たる征途の間、 誰か是れ長(ちょう)年の者。 送別 王維 馬より下りて君に酒を飲ましむ。 問ふ君に何んの之(ゆ)く所ぞ。 君は言ふ、意を得ず、 南山の陲(ほとり)に帰臥すと。 但、去れ、復問こと莫かれ。 白雲尽く時無し。