〼廽り相圖の飛火を揚げせば大将義仲
追手より攻かう牛四五百疋集め
て角に悉く明松を結付一度に
燃し立て無二無三平家の
陣へ追立たれば松明は
山風に燃え上り頭を
焦せば如くなれば
牛荒まわりて
○ 平家の陣
つゞき 向て へ狂ひ
黒坂の北 陣を取る両軍 入りたり
に陣を取る。 相隔ること五六段なり。 樋口次郎は
平家は倶利伽 木曽はわざと延し 兵を率
羅嶺猿馬場より 夜に入るを待ちければ 〼山中を
是も黒坂口に進 搦手の勢は平家も ●し登り葎原へ
み下り 北に◯ 後山 〼 押寄せ根井今井巴等
は北黒坂を引廽して鬨を
作り押掛いたり。此勢に平家の
軍勢は魂を消し東西を失なひ北自
狼狽して終に悉く
倶利伽羅の谷
落入りたり。
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◯→◯、〼→〼の順に読むが〼が二つあり、順は不明。●は読めなかった文字。
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