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Channel: 新古今和歌集の部屋
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校正七部集 猿蓑 巻之二 5 巻之三 1 蔵書

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夕くれや 屼並ひたる雲 の 峯  去来

  はしめて洛に入て
                大阪
雲のみね今のは比叡に 似た物か  之道

 

  秋

秋風や 蓮をちからに花ひとつ  不知讀人

  此句東武よりきこゆもし素堂か

かつくりとぬけ初る歯や秋 の風  杉風

芭蕉葉は何になれとや 秋の風   路通

人に似て 猿も手を組 秋の風   珎碩

  加賀の全昌寺に宿す

終夜 秋風 きくや 裏 の 山  曽良
                江戸
芦原や 鷺の寝ぬ夜を 秋の風   山川

あさ露や 鬱金畠 の秋 の 風  凡兆

はつ露や 猪の臥芝 の起あかり  去来

大 比叡やはこふ野菜の露しけし  野童

三葉ちりて跡は 枯木や 桐の苗  凡兆

文月や 六日も常の夜には 似す  芭蕉

合歓の木の葉こしもいとへ星の影  芭蕉
               伊賀少年
七夕やあまりいそかはころふへし  杜若

みやこにも住ましりけり 相撲取  去来
                伊賀
朝かほは 鶴眠る間のさかり 哉  風麥
                膳所
蕣や ぬかこの蔓 のほとかれす  及肩

笑にも 泣にも 似さる木槿 哉  嵐蘭

手を懸て をらて 過行木槿 哉  杉風

高燈籠ひるは ものうき柱 かな  千邦

はてもなく 瀬のなる音や秋黴雨  史邦

そよ/\や藪 の内より初あらし  且藁
                三川
秋風や とても 薄はうこくはす  子尹

迷ひ子 の親のこゝろやすゝき原  羽紅

   八瀬おはらに遊吟して柴うりの

   文書ける序手に

まねき/\ 柺の 先の薄 かな  凡兆

   つくしよりかへりけるにひみと

   いふ山にて卯七に別て

君か手 もましる成へし はな薄  去来

ゆふぐれやはげならびたるくものみね  去来(雲の峰:夏) くものみねいまのはひえに似たものか  之道(雲の峰:夏)  ※之道 槐本之道。薬種商をいとなみ,大坂では初の松尾芭蕉の門人。元禄7年発病した芭蕉を弟子の榎並舎羅らとともに,その死までみとった。通称は伏見屋久右(左)衛門。別号に東湖,諷竹など。姓は「えのもと」ともよむ。編著に「あめ子」「淡路島」「砂川」。 あきかぜやはすをちからにはなひとつ  不知読人(秋風:秋)  ※不知読人 三河岡崎の鶴声の作。巻頭に素堂の名をちら付かせた去来の趣向。後に、荷兮に実作者を暴かれた。 がつくりとぬけそむるはやあきのかぜ  杉風(秋風:秋) ばせうははなにになれとやあきのかぜ  路通(秋風:秋) ひとににてさるもてをくむあきのかぜ  珎碩(秋風:秋) よもすがらあきかぜきくやうらのやま  曽良(秋風:秋)  ※奥の細道。全昌寺は石川県加賀市大聖寺の寺。曽良は芭蕉と別れて、全昌寺に泊まり、後に芭蕉も訪れた。 あしはらやさぎのねぬよをあきのかぜ  山川(秋風:秋) あさつゆやうこんばたけのあきのかぜ  凡兆(秋風:秋) はつしもやゐのふすしばのおきあがり  去来(初霜:秋)  ※猪の臥芝 歌語の臥猪の床。 おほひえやはこぶやさいのつゆしげし  野童(露:秋) みはちりてあとはかれきやきりのなえ  凡兆(桐散る:秋)  ※三葉ちりて 桐一葉で天下の秋を知るのに、あと三葉散ったら枯れ木だと言う俳諧味。 ふみづきやむいかもつねのよにはにず  芭蕉(文月:秋)  ※奥の細道。文月の七日は七夕で、その前夜の事。越後直江津での作。 ねむのきのはごしもいとへほしのかげ  芭蕉(星合:秋) たなばたやあまりいそがばころぶべし  杜若(七夕:秋)  ※参考 いつしかとまたぐ心をはぎにあげて天の河原をけふやわたらむ(古今集 七月六日七夕の心をよみける 藤原兼輔朝臣) みやこにもすみまじりけりすまうとり  去来(相撲取:秋) あさがほはつるねむるまのさかりかな  風麦(朝顔:秋) あさがほやぬかごのつるのほどかれず  及肩(朝顔:秋) わらふにもなくにもにざるむくげかな  嵐蘭(木槿:秋) てをかけておらですぎゆくむくげかな  杉風(木槿:秋) たかとうろひるはものうきはしらかな  千邦(高灯籠:秋) はてもなくせのなるおとやあきついり  史邦(秋黴雨:秋) そよそよややぶのうちよりはつあらし  旦藁(初嵐:秋) あきかぜやとてもすすきはうごくはず  子尹(薄:秋) まよひごのおやのこころやすすきはら  羽紅(薄:秋)  ※親の心 人のおやの心はやみにあらねとも子を思ふ道にまどひぬるかな(後撰集 兼輔朝臣) まねきまねきあふごのさきのすすきかな 凡兆(薄:秋)  ※柴うりの文書 大原女の俳文柴売説  ※柺 おうご 荷を担う棒。天秤棒。 きみがてもまじるなるべしはなすすき  去来  ※ひみ 長崎街道の日見峠。同所の芒塚句碑にこの句がある。長崎は去来の生まれ故郷。





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