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Channel: 新古今和歌集の部屋
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校正七部集 猿蓑 巻之四 2 蔵書

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野 畠や 鴈 追のけて 摘 若 菜  史邦

はつ 市や 雪に漕 来る 若菜 舟  嵐蘭

宵の 月 西に なつ なのきこゆ也  如行

  憶翁之客中

裾折て 菜を つみ しらん 草 枕  嵐蘭

つみ捨て 蹈 付 かたき 若菜 哉  路通

七 種や 跡にうかるゝ 朝から す  其角

我事 と 鯲 の にけし 根芹 哉  丈草

うすらひや わつかに 咲る 芹の花  其角

朧 とは 松 の くろさに月夜 哉  仝

鉢たゝき こぬ 夜となれは 朧 也  去来
                   加賀
鴬 の 雪 ふみ おとす 垣ほかな  一桐
                  江戸
うくひすや はや一聲の したりかほ  渓石

鴬や 遠 路 なから 礼 かへ し  其角

うくひすや下駄の歯につくに小田の土  凡兆
                   伊賀
鴬や 窓 に 灸を すゑ な から  魚日

やふの雪 柳 はかり はすかた 哉  探丸
                   江戸
此瘤 は さるの 持へき 柳 かな  卜宅

                   江戸
垣 こしに とらへてはなす 柳 哉  遠水

よこた 川 植處 なき 柳 か な  尚白
                   伊賀
青柳 の したれや 鯉 の 住 處  一啖
                   同
雪汁や 蛤 いかす 場 の す み  木白

待中 の 正月 も はやくたり 月  揚水

  田家に在て

麦めしに やつるゝ恋か 猫 の 妻  芭蕉

うらやまし おもひ 切 時 猫の恋  越人

うき友に かまれて 猫の空 ながめ  去来

  露沾公にて餘寒の當座

春風に ぬきも さためぬ 羽織 哉  亀翁

野の梅 のちりしほ 寒き 二月 哉  尚白

出かはりや 櫃にあまれるこさのたけ  亀翁

出替 や 幼 こゝろに 物 あはれ  嵐雪

骨柴 の かられなからも 木芽 哉  凡兆

白魚や 海苔は 下部 の かひ合せ  其角
                   尾張
人の 手に とられて後や 桜 海苔  杉峯

春雨に たゝき 出したりつく/\し  元志

のばたけやがんおひのけてつむわかな  史邦(若菜:春) はついちやゆきにこぎくるわかなぶね  嵐蘭(若菜:春) よひのつきにしになづなのきこゆなり  如行(薺:春)  ※なづな なづな打の略。七草粥の時、なづなを刻み打ちながら、「唐土の鳥と〜」囃す。 すそをりてなをつみしらんくさまくら  嵐蘭(菜摘:春) つみすててふみつけがたきわかなかな  路通(若菜:春) ななくさやあとにうかるるあさがらす  其角(七種:春)  ※七種 なづなに同じ。 わがこととどぢやうのにげしねぜりかな 丈草(根芹:春) うすらひやわづかにさけるせりのはな  其角(芹:春)  ※芹の花 芹の花は、夏季で誤認か? おぼろとはまつのくろさにつきよかな  其角(朧:春) はちたたきこぬよとなればおぼろなり  去来(朧:春)  鉢たたき 鉢叩は、空也上人忌の十一月十三日から四十八日間の修行。 うぐひすのゆきふみおとすかきほかな  一桐(鴬:春) うぐひすやはやひとこゑのしたりがほ  渓石(鴬:春) うぐひすやとほみちながられいがへし  其角(鴬:春)  ※礼がへし 年賀の挨拶の返礼 うぐひすやげたのはにつくをだのつち  凡兆(鴬:春) うぐひすやまどにやいとをすえながら  魚日(鴬:春) やぶのゆきやなぎばかりはすがたかな  探丸(柳:春) このこぶはさるのもつべきやなぎかな  卜宅(柳:春) かきごしにとらへてはなすやなぎかな  遠水(柳:春) よこたかはうゑどころなきやなぎかな  尚白(柳:春)  ※横田川 滋賀県の野洲川の中流域の別名。湖南市三雲駅付近と言われる。  ※植所なき 夫木和歌抄 鴨長明 横田山石部川原の蓬生に秋風さむみ都こひしも あをやぎのしだれやこひのすみどころ  一啖(青柳:春) ゆきじるやはまぐりいかすにはのすみ  木白(雪汁:春)  ※雪汁 雪解け水。 まつうちのしやうぐわつもはやくだりづき 揚水(正月:春) むぎめしにやつるるこひかねこのつま  芭蕉(猫の妻:春) うらやましおもひきるときねこのこひ  越人(猫の恋:春) うきともにかまれてねこのそらながめ  去来(猫の恋:春)  ※空 参考 古今集 大空は恋しき人のかたみかは物思ふごとに眺めらるらむ はるかぜにぬぎもさだめぬはおりかな  亀翁(春風:春) ののうめのちりしほさむきにぐわつかな 尚白(二月:春) でがはりやひつにあまれるござのたけ  亀翁(出替:春)  ※出替 出替奉公。奉公人が一年、半年を務めた交代期。三月五日と九月十日。 でがはりやをさなごころにものあはれ  嵐雪(出替:春) ほねしばのかられながらもこのめかな  凡兆(木の芽:春) しらうをやのりはしもべのかひあはせ  其角(白魚:春) ひとのてにとられてのちやさくらのり  杉峯(桜海苔:春) はるさめにたたきだしたりつくづくし  元志(土筆:春)

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