らんりやうのびしゆうつこんきよくわんもりきたるこはくのひかり蘭陵美酒鬱金香玉碗盛来琥珀光
たゝしてしゆじんをよくよはしめはかくをすしらいつれのところかこれたきやう但使主人能醉客不知何處是他鄉
らんりやうはよひさけのてところ。うつこんこうとはにほひのよひさけ。かようのさけをけつこうなたまのわんにもりみてもてなさるはかたじけない。よいさけをけつこうなさかつきへつげはこはくのひかりがする。しゆじんとはいまたひニてかつているところのていしゆさけをふるもふてくたさるゆへこきやうしややらたのたきゆうしややらしらすなくさみて りはくいるといふしたころたひのうれをさけニてわするといふにかなしみをふくめり 李白
かくちうこう客中行
客中行
李白蘭陵の美酒、鬱金の香、玉椀盛り来る、琥珀の光。
但だ主人をして能く客を酔わしめば、
知らず、何れの処か是れ他鄉ならん。
意訳誉れの高い蘭陵の美酒は、鬱金の香りを放ち、玉碗になみなみと盛って、琥珀色に輝いている。ただ、ここの主人が、旅人の私を酔わせてくれるならば、ここがどこの他郷であろうと知った事じゃ無い。皆古い友人になっている。
※蘭陵 精選日本語大辞典[二]中国漢代、現在の山東省南部、棗荘市の東南に置かれた県名。戦国時代の楚の邑。荀子がここの役人となった。晉代には、この県を中心に同名の郡が置かれた。[三] 中国、江蘇省武進県の地名。酒の名産地。〔李白‐客中行〕大辞泉中国漢代、現在の山東省棗庄の南東に置かれた県名。戦国時代の楚その邑。
岩波文庫本では、山東省としている。
※鬱金 ウコン。酒の匂い付けに用いた。
※琥珀 コハク。
※椀 宋本、繆本では「埦」、唐詩品彙では「碗」、文苑英華、唐詩別裁集、古今詩刪では「盌」に作る。いずれも同じ意味。玉なので、碗が正しいかも知れないが、宀はフタ付きの事で、盌かも知れない。
※客 旅人。李白の事。
浙江省紹興酒 搭牌 陳五年 花彫
唐詩選畫本 七言絶句 巻一