されはすかたをはつるくひもな
しかてともしけれはおろそかな
れともほゝをあまくす。すへて
かやうのたのしみ人にたいし
ていふにはあらす。わか身ひとつに
とりてむかしといまをなそ
らふるはかりなり。それ三界は
た々こゝろひとつなり。こゝろもし
やすからすは象馬七珍もよしなく
(交は)らざれば、姿を恥づる悔ひもなし。
糧乏しければ、おろそかなれども哺々をあまくす。
すべてかやうの楽しみ、人に対して言ふにはあらず。
わが身一つにとりて、昔と今とをなぞらふるばかりなり。
それ三界はただ心一つなり。
心、もしやすからずは、象馬七珍もよしなく
(参考)大福光寺本
ラサレハスカタヲハツルクヰモナシ。
カテトモシケレハヲロソカナル報ヲアマクス。
惣テカヤウノタノシミトメル人ニタイシテイフニハアラス。
只ワカ身ヒトツニトリテムカシ今トヲナソラフルハカリナリ。
夫三界ハ只心ヒトツナリ。
心若ヤスカラスハ象馬七珍モヨシナク