はやう咲 九日も近し 宿の菊 芭蕉
心 うきたつ 宵月の 露 左柳
新畠 去年の鶉の 啼きだして 路通
雲うす/\と 山の重り 文鳥
酒飲のくせに障子を明たがり 越人
なをおかしくも文をくるはす 如行
足のうらなでゝ眠をすゝめけり 荊口
歳をわすれて 衾かぶりぬ 此筋
二人目の妻にこゝろや解ぬらん 本因
けづり鰹に 精進落たり 残香
とかくして灸する座をのがれ出 曽良
書物のうちの 虫はらひ拾 斜嶺
下略
元禄二年九月四日浅井左柳亭 笈日記。泊船集、宇陀法師では「はや/\さけ」、桃の白実などでは「はやく咲け」。