とうけふ
俳句
金沢から東京に久しぶりに帰って、ゆっくりとした時間の流れからの変化に
帰京して
君などは誰も知らぬと人の波
夜間飛行
幸いを
最終便のカムパネルラ
傘もなく荒ぶこころの
はしり梅雨
夏木立2句
宮崎神宮にて
あるがまま鎮守の杜の夏木立
六義園にて
迷い来て六義の園の
夏木立
ビルの谷間より
狭き空
梅雨のすき間のあかね雲
黄昏の月
寂しさを独り集める
鉤の月
金沢の冬
すすきのみ風に吹かれる雪の原
みたままつりにて
靖国のそれぞれの人平和なり
初蝉
初せみの聲を又聞き涼しかり
遠き夏の日
清里の涼しき風や
遠き夏
川上村にて
雲と峰
ともに沸き立つレタス村
樹の海とレタスの波や夏の風
老鶯
うぐいすの季節を替えて山の夏
気温三十八度
道を行く窓の向こうの大暑かな
根岸子規庵にて
子規庵の畳よりみよ糸瓜だな
畳より垣間見てゐる糸瓜棚
ラブホテル中に垂れてるへちま棚
美女の肌擦って塗って糸瓜かな
夕立を待ちし木立の暗さかな
ゆったりとバーベキュ焼く蝉時雨
東京ディズニーランドで
浜風に英語飛び交ひ秋涼し
西行の歌を借りた松風の句
つねよりも松風わきて茶にかをる
台風一過の夕焼けを見て
目に焼ひて台風一過紅き雲
同級生の通夜にて
秋雨の友の弔ひ残るもの
生きる価値死 ぬ 価値も無し
燗の酒
伊達高尾太夫と友人
ギャハハ母紅葉一つ葉操かな
侘び寂びを通り越したる山紅葉
対岸の曼珠沙華に
なかなかに渡れぬ川よ彼岸花
夕焼けが鯉に驚き騒ぐ影
宮崎にて
南国や
秋より夏に戻る旅
高千穂の神楽の舞ひや影踊る
拙くも人、人なりの文化祭
兼題暮れの秋、秋の蜂
小雨降り音の少なく秋暮るゝ
花もなくいずれ彷徨ふ秋の蜂
満たされぬ
心を照らし後の月
カーテンの和らに笑ふ
小春かな
執着は捨て切れぬもの
帰り花
獅子座流星群
獅子座より一生分の星が降る
闇空をあふれ流るゝ千の星
人々の願ひ叶えに流星群
新宿御苑
冬枯れの空を突き刺す摩天楼
小石川植物園
大いちょう落ち葉敷き詰め木漏れる陽
落葉降る木漏れる陽あり裏表
メタセコイア
古き世の秋を思わす化石の木
化石の木
太古の秋の黄葉狩り
赤、黄、青、
一樹に揃う紅葉ごろ
向島百花園
碑も無常のならい枯れ薄
新宿高層ビルより下を
超高層 アリの衆合 クリスマス
尾久の原公園
木枯らしを受け流し行く
あしの原
日だまりを
探して集う寒雀
何事もまかせてしまへ年の暮れ
賑わいも気忙しとなる大晦日
賑わいや売り声高く大晦日