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Channel: 新古今和歌集の部屋
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中山輔親氏蔵本源氏物語 捧物 鈴虫 蔵書

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源氏物語絵 場面不明コレクション1

 

 

 


みこたちなどもいとあまたまいり給へり。御

かた/\よりわれも/\といとみいてたまへ

るほう物のありさま心ことにところせ

きまてみゆ。七そうのほうふくなとすへて

おほかたのことゝもはみなむらさきのうゑ

せさせ給へり。あやのよそひにてけさの

ぬひまてみしる人はよになへてな

らすとめてけりとや。むつかしくこま

かなるしともかな。かうしのいとたうと

くことの心を申してこのよにすくれ給へ

るさかりをいとひはれたまひてなかき

よにたゆましき御ちきりを法花経

にむすひとゝめたまふたゝいまのよにさゑもす

くれゆたけきさきらをいとゝ心してい○

つゝけたるいとたうとけれはみなひと/\

しほたれたまふ。これはたゝいとしのひて

ねんすたうのはしめばかりとおほし

たる事なれとうちにもやまみかと

もきこしめしてみな御つかひともあり。

御すけふのふせなといとゝころせきま

てにはかになんことひろこりける。

院に申させたまひけることゝものそ

くとおほしゝかとよのつねならさりけるを

よしていまめかしき事とものくはゝ

りたれはゆふのてらにをき所なけなる

まてところせけなるいきをひになりて

なん、そうともは返ける。いましも心くるし

き御心そひてはかりもなくかしつき

きこゑ給院のみかとはかの御そうふん

親王達なども、いとあまた參り給へり。御方々より、我も我もといどみ

出で給へるる宝物の有樣、心殊に所狭(せ)きまで見ゆ。七僧の法服な

ど、全て大方の事共もは、皆紫の上せさせ給へり。綾のよそひにて、袈

裟の縫ひまで、見知る人は、世になべてならずと愛でけりとや。むつか

しく細かなるしどもかな。講師のいと尊く、ことの心を申して、この世

に優れ給へる盛りを厭ひ離(は)れ給ひて、長き世に絶ゆまじき御契り

を、法華経に結び留め給ふ。だだ今の世に才(さゑ)も優れ、ゆたけき

さきらをいとど心して言ひ続けたる、いと尊けれは、皆人々塩垂れ給ふ。

これはただいと忍びて、念誦堂の始めばかりとおぼしたる事なれど、内

にも山帝も聞こし召して、皆御使共あり。

御誦経の布施など、いと所狭きまで、俄になんこと広ごりける。院に申

させ給ひける事共の、削ぐとおぼししかど、世の常ならざりけるを、よ

して今めかしき事共の加はりたれば、夕(ゆふ)の寺に置き所無げなる

まで、所狭けなる勢になりてなん、僧共は返ける。

今しも心苦しき御心添ひて、はかりも無くかしづき聞こゑ給ふ。院の帝

は、かの御処分(そうぶん)

 

さきら 弁舌が優れている樣。   ※山帝 朱雀院   ※削ぐ 簡略にする。省略する。省く。
中山輔親氏蔵本源氏物語 鈴蟲

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