Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4415

新古今集聞書幽斎補筆 秋歌上 顕昭 水茎岡葛葉紅葉 蔵書

 

Image may be NSFW.
Clik here to view.

野原は風ふく時分なればなにとかんとせんと

よめる哥也。

                 源具親

しきたへの枕の上にすぎぬなり露を尋る秋のはつ風

しきたへはしきて堪忍するこゝろなり。風の

ならひ物にあたりてちらすものなり。さてわが

枕の上をば過ていづくへゆくぞ。涙をばしらぬ

かとよめり。我涙をしらせてちらさばやと

思ふこゝろなり。

                   顕昭

 水茎の岳の葛葉もいろづきて今朝うらがなし秋の
                             初風

くずはよの草よりもはやくもみぢするものなり。

Image may be NSFW.
Clik here to view.

本哥
ちはやぶる神のいがきにはふ葛も秋にはあへずうつろひ
                                にけり

うらかなしとは心かなしきと云事なり。表裏

の二字を讀ときは表の字を面によみ裏の字

をうらとよむなり。人の心はおもてはみえぬ

ものなり。源氏に舟人もたれをうらみつらん

といへるも同じ心なり。水茎岳むかしより葛

よみ侍るなり。


水ぐきのをかのあさぢのきり/"\す霜のふりはや夜ざ
                           むなるらん

ねてのあさけの霜のふりはもをとりたる哥也。

 

 

※ちはやぶる
古今集 秋歌下
 神のやしろのあたりをまかりける時に
 いがきのうちのもみぢを見てよめる
                     紀貫之
ちはやぶる神のいがきにはふくずも秋にはあへずうつろひにけり

 

※水ぐきのをかのあさぢ
続後撰集 秋歌下
                     順徳院
水茎の岡の浅茅のきりぎりす霜のふりはや夜寒なるらむ

 

※水茎の岡 滋賀県近江八幡市の歌枕

Image may be NSFW.
Clik here to view.


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4415

Trending Articles