○みしぶつきうへし山田にひたはへて又袖ぬらす秋は
きにけり
みしぶは水のしぶなり。みさびなどいふも同事也。
秋は又ひたなどかけて又袖のぬるゝよとよ
める夏秋かけて難艱の体也。
同
○荻の葉もちぎりありてや秋風の音信そむる妻となるらん
妻とは何にても物のあひあふ事を云なり。
是は風と荻との事也。
○七夕の衣のつまは心して吹な返しそ秋の
はつ風
我せこが衣のすそを吹返しうらめづらしき秋の初風
七夕はまれのあふ事は返さでと云事をきらふなり。
それを吹なかへしそと秋風にいひかけたる哥なり。
この歌は、聞書に無く、出典は不明。
※我せこが
古今集秋歌上
よみ人知らず
わかせこが衣のすそを吹返しうらめづらしき秋のはつ風