松山と
契り
し
人は
つれなくて袖
越す浪に
のこる月かげ
新古今和歌集巻第十四 戀歌四
八月十五夜和歌所にて月前戀といふことを
藤原定家朝臣
松山と契りし人はつれなくて袖越す浪にのこる月かげ
よみ:まつやまとちぎりしひとはつれなくてそでこすなみにのこるつきかげ 撰者無 隠
意味:(末の松山の違える事は無く)待つと約束した人はつれなくて、(違えた為に波の樣に越えてしまった)袖の涙に残っている月が光っています。
備考:建仁元年八月十五夜当座御会。歌枕 末の松山。本歌 君をおきてあだし心をわがもたばすゑの松山浪もこえなむ(古今和歌集 巻二十 東歌)。歌枕名寄、新古今注、新古今和歌集抄出聞書(陽明文庫)