Quantcast
Channel: 新古今和歌集の部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4231

新古今増抄 巻第一 八条院高倉 散花不訪人 蔵書

$
0
0

こゝにうぐひすのなく。むかしはかやうに少かへても

よめり。鴬と春風とをかへたるばかり也。定家卿

詠哥大概さだめられしよりは、こゝろある

べき事にや。春風が木の花はみな吹ちらし

て、あかぬあまりに、袖が匂へば、花があるかと

おもひて、ちらさんとおもひてふくが、これ

は匂ひばかりにてあるぞとなり。匂ひばかり

をといふにて、袖に留る心をあらはしたり。

一 題しらず   八條院ノ髙倉 法印隆憲女
                    七首入り

八條」院の御うちの女房なり高倉は女の名也。

一 ひとりのみながめてちりぬ梅の花しるばかり成人はとひこで

増抄云。此哥よくおもへば大かたの人はとひくれ


どもいろをも香をともにしる人はとひこねば、ひとい

りながめてちりぬと也。さてもおしきことかな

と、心をあましたる花也。しるばかり成とは、


君ならで誰にかみせん梅花色をもかをも
                       しる人ぞしる

この哥の心をふまへてよめる成べし。

 

頭注

のみといふは治定

したる詞也。

ぬ字をはんぬ也。

 

又説我かしる人は

とひこずとも花

をしるばかり成人

はとひこでとの

義も有べし。

花をたづぬる人

さへなかりしと也。

 

※君ならで~
古今集春歌上
 むめの花ををりて人におくりける
                紀友則
君ならで誰にか見せむ梅花色をも香をも知る人ぞしる


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4231

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>