秋風に
はつ
かりがね
きこゆ ぞ
なる たが
たまづさを
かけて
きつらむ
紀友則(生没年未詳) 紀有朋の子。貫之の従兄。長らく官職に就けなかったが、寛平九年(897年)、ようやく土佐掾の官職を得る。翌年、少内記となり、延喜四年(904年)には大内記に任官した。平三年(891)秋以前の内裏菊合、同四年頃の是貞親王家歌合・寛平御時后宮歌合などに出詠。壬生忠岑と並ぶ寛平期の代表的歌人。古今集撰者に任命されたが、紀貫之・壬生忠岑がその死を悼んだ哀傷歌が古今集にある事から、まもなく病を得て死去したらしい。享年は五十歳前後。 古今集 春歌上 梅の花を折りて人に贈りける 君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る 春歌下 桜の花の散るをよめる ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ 恋歌二 東路のさやの中山なかなかに何しか人を思ひそめけむ 拾遺集 冬歌 題しらず 夕されば佐保のかはらの河ぎりに友まどはせる千鳥なくなり