湖上に飲み、初め晴るるも後に雨ふる 蘇武 水光、瀲灧(レンエン)として、晴れて方(マタ)好く、 山色、空濛(クウモウ)として、雨も亦た奇なり。 西湖を把(モ)って、西子と比せんと欲すれば、 淡粧、濃抹、総じて相ひ宜ろし。
※瀲灧 さざ波のしきりに動く樣
※空濛 霧雨が降って薄暗い樣。唐の武元衡の『題嘉陵驛』の「悠悠風旆繞山川、山驛空濛雨作煙。路半嘉陵頭已白、蜀門西更上青天。」と言う詩を踏まえる。
※西子 西施。春秋時代の越の美女。呉王夫差の愛妃。夫差は、西施のために、ここ西湖畔の姑蘇山上に姑蘇台を築いた。
意訳 西湖に舟を浮かべて酒を飲ん でいると、最初晴れていたが、 後、雨が降って光が水に映った輝きは、さざ波が動いて、晴れた方がとても良く、山の景色は、小雨に霧が出て暗くなり、雨も又変化に富んで、面白いものだ。
もし、目の前に広がる西湖を、西施と比較したとすれば、薄化粧も厚化粧も、いずれもよく似合っており、どちらも素晴らしい。