。思
摂政殿
○古郷のもとあらの小萩さきしよりよな/\庭の月ぞ
うつろふ
うつろふと云詞字によりて心かはり侍り。移の字は
あなたへ映の字はこなたへなり。此哥は映の字也。
萩のさかりにふる郷をもなぐさむべきと思ふに
いよ/\さびしきも悲しさもまさりもて行
ものかなとよめり。この哥夢菴の素純に尋
られし事あり。題は月前草花也。
此作者の哥に多銘肝膽事あり。希有云々。
※出典 常縁聞書。ただし、「題は~」の前に「拾 裏有荊感也」が抜けている。