よそながら幾年すぎぬ逢ふことを
松も老いぬる高砂のきし 成家
民部卿家歌合
よそながらいくとせすぎぬあふことをまつもおいぬるたかさごのきし
松にふく嵐の音も高砂の
浦ぢしぐるゝ秋の夕ぐれ 厳教
玉葉集
まつにふくあらしのおともたかさごのうらちしくるるあきのゆふぐれ
人の名のことも高砂浦のなみ
しはしの浪さへ分けて契らむ 宗弘
今はとてはらひすてゝむ高砂の
松の思はん老のことの葉 逍遙
それながら春はくもゐに高砂の
霞のうへの松のひとしほ 藤原定家
建保名所百首
それなからはるはくもゐにたかさこのかすみのうへのまつのひとしほ
高砂の松はわれとも霜がれに
まじれる枝を知る人ぞなき 中務
中務集
たかさごのまつはわれともしもがれにまじれるえだをしるひとぞなき
あひ生におひそふ千世の種もみむ
あふぐ宮居も高砂の松 其覧
今朝見れば雪高砂の松が枝は
つちにつくまで降りつみにけり 季経
六百番歌合
けさみればゆきたかさこのまつがえはつちにつくまてふりつみにけり