302 眺むれば思ひやるべき方ぞ無き春を限りの夕暮の空
なかむれはおもひやるへきかたそなきはるのかきりのゆふくれのそら 千載集
303 神山の麓に馴れし葵草引き別れてぞ年は経にける
かみやまのふもとになれしあふひくさひきわかれてそとしはへにける 千載集
304 草も木も秋の末葉は見え行くに月こそ色は変はらざりけれ
くさもきもあきのすゑははみえゆくにつきこそいろはかはらさりけれ 千載集 藐姑射の山=仙人の住む山
305 動き無く猶万代を頼むべき藐姑射の山の峰の松風
うこきなくなほよろつよをたのむへきはこやのやまのみねのまつかせ 千載集
306 儚しや枕定めぬ転た寝に仄かに迷ふ夢の通ひ路
はかなしやまくらさためぬうたたねにほのかにまよふゆめのかよひち 千載集
307 袖の色は人の問ふまでなりもせよ深き思ひの君し頼まば
そてのいろはひとのとふまてなりもせよふかきおもひをきみしたのまは 千載集
308 御手洗や影絶え果つる心地して志賀の浦地に袖ぞ濡れにし
みたらしやかけたえはつるここちしてしかのうらちにそてそぬれにし 千載集
309 故郷を一人別かるる夕べにも送る葉月の影とこそ聞け
ふるさとをひとりわかるるゆふへにもおくるはつきのかけとこそきけ 千載集
310 八重匂ふ軒端の桜移ろひぬ風より先に問ふ人もがな
やへにほふのきはのさくらうつろひぬかせよりさきにとふひともかな 新古今
311 辛きかな移ろふまでに八重桜問へども言はで過ぐる心を
つらきかなうつろふまてにやへさくらとへともいはてすくるこころを 新古今 惟明親王
312 儚くて過ぎにし方を数ふれば花に物思ふ春ぞ経にける
はかなくてすきにしかたをかそふれははなにものおもふはるそへにける 新古今 重複
313 さりともと待ちし月日ぞ移りゆく心の花の色に任せて
さりともとまちしつきひそうつりゆくこころのはなのいろにまかへて 新古今
314 夕立の雲も止まらぬ夏の日の斜く山に蜩の声
ゆふたちのくももとまらぬなつのひのかたふくやまにひくらしのこゑ 新古今
315 窓近き竹の葉荒ぶ風の音にいとど短き転た寝の夢
まとちかきたけのはすさふかせのおとにいととみしかきうたたねのゆめ 新古今
316 千度打つ砧の音に夢覚めて物思ふ袖の露ぞくだくる
ちたひうつきぬたのおとにゆめさめてものおもふそてのつゆそくたくる 新古今
317 風寒み木の葉晴ゆく夜な夜なに残る隈なき閨の月影
かせさむみこのははれゆくよなよなにのこるくまなきねやのつきかけ 新古今
318 今はただ心の外に聞く物を知らず顔なる荻の上風
いまはたたこころのほかにきくものをしらすかほなるをきのうはかせ 新古今
319 玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする
たまのをよたえなはたえねなからへはしのふることのよはりもそする 新古今
320 忘れては打ち嘆かるる夕べかな我のみ知りて過ぐる月日を
わすれてはうちなけかるるゆふへかなわれのみしりてすくるつきひを 新古今
なかむれはおもひやるへきかたそなきはるのかきりのゆふくれのそら 千載集
303 神山の麓に馴れし葵草引き別れてぞ年は経にける
かみやまのふもとになれしあふひくさひきわかれてそとしはへにける 千載集
304 草も木も秋の末葉は見え行くに月こそ色は変はらざりけれ
くさもきもあきのすゑははみえゆくにつきこそいろはかはらさりけれ 千載集 藐姑射の山=仙人の住む山
305 動き無く猶万代を頼むべき藐姑射の山の峰の松風
うこきなくなほよろつよをたのむへきはこやのやまのみねのまつかせ 千載集
306 儚しや枕定めぬ転た寝に仄かに迷ふ夢の通ひ路
はかなしやまくらさためぬうたたねにほのかにまよふゆめのかよひち 千載集
307 袖の色は人の問ふまでなりもせよ深き思ひの君し頼まば
そてのいろはひとのとふまてなりもせよふかきおもひをきみしたのまは 千載集
308 御手洗や影絶え果つる心地して志賀の浦地に袖ぞ濡れにし
みたらしやかけたえはつるここちしてしかのうらちにそてそぬれにし 千載集
309 故郷を一人別かるる夕べにも送る葉月の影とこそ聞け
ふるさとをひとりわかるるゆふへにもおくるはつきのかけとこそきけ 千載集
310 八重匂ふ軒端の桜移ろひぬ風より先に問ふ人もがな
やへにほふのきはのさくらうつろひぬかせよりさきにとふひともかな 新古今
311 辛きかな移ろふまでに八重桜問へども言はで過ぐる心を
つらきかなうつろふまてにやへさくらとへともいはてすくるこころを 新古今 惟明親王
312 儚くて過ぎにし方を数ふれば花に物思ふ春ぞ経にける
はかなくてすきにしかたをかそふれははなにものおもふはるそへにける 新古今 重複
313 さりともと待ちし月日ぞ移りゆく心の花の色に任せて
さりともとまちしつきひそうつりゆくこころのはなのいろにまかへて 新古今
314 夕立の雲も止まらぬ夏の日の斜く山に蜩の声
ゆふたちのくももとまらぬなつのひのかたふくやまにひくらしのこゑ 新古今
315 窓近き竹の葉荒ぶ風の音にいとど短き転た寝の夢
まとちかきたけのはすさふかせのおとにいととみしかきうたたねのゆめ 新古今
316 千度打つ砧の音に夢覚めて物思ふ袖の露ぞくだくる
ちたひうつきぬたのおとにゆめさめてものおもふそてのつゆそくたくる 新古今
317 風寒み木の葉晴ゆく夜な夜なに残る隈なき閨の月影
かせさむみこのははれゆくよなよなにのこるくまなきねやのつきかけ 新古今
318 今はただ心の外に聞く物を知らず顔なる荻の上風
いまはたたこころのほかにきくものをしらすかほなるをきのうはかせ 新古今
319 玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする
たまのをよたえなはたえねなからへはしのふることのよはりもそする 新古今
320 忘れては打ち嘆かるる夕べかな我のみ知りて過ぐる月日を
わすれてはうちなけかるるゆふへかなわれのみしりてすくるつきひを 新古今