$ 0 0 幻住菴記 芭蕉 石山の奥岩間のうしろに山あり。 国分山といふ。そのかみ国分寺の名を 傳ふなるべし。麓に細き流れを渡 りて翠微に登ること三曲二百歩 にして八幡宮たゝせたまふ。神体 は弥陀の尊像とかや。唯一の家には 甚だ忌むなる事を両部光を和げ 利益の塵を同じうしたまふも 又尊し。日比は人の詣でざりければ いとゞ神さびもの静かなる傍に住 捨てし草の戸あり。蓬根笹軒 をかこみ屋根もり壁おちて狐狸 ふしどを得たり。幻住庵といふ。あるじ の僧なにがしは勇士菅沼氏曲水子の