$ 0 0 木樵の聲麓の小田に早苗とる 哥蛍飛びかふ夕闇の空に水鶏の 叩音美景物としてたらずと云事 なし。中にも三上山は士峯の俤に かよひて武蔵野ゝ古き栖も思ひ いでられ田上山に古人をかぞふ。さゝほ ケ嶽千丈が峯袴腰といふ山あり。黒 津の里はいと黒う茂りて網代守 にぞとよみけむ萬葉集の姿なり けり。猶跳望くまなからむと後の 山に這ひのぼり松の棚作り藁の圓座 を敷きて猿の腰掛と名付。彼海葉 に巣をいとなみ主簿峯に菴を 結べる王翁徐佺がにはあらず。唯睡 辟山民と成て孱顔に足をなげ